気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

イギリスの欧州連合(EU)離脱問題:我々日本人がEUを知る方法とは?

EUはわかりにくい!

欧州連合(EU)は非常に複雑な構造を持った機関です。難民問題が浮上するまでは、単なる「経済的なつながり」だと思っていたという人も多いのではないでしょうか?しかし、その役割は多岐にわたり、機関内の組織の数も非常に多いです。EUの首脳会議に当たる欧州理事会(&閣僚会議に当たる欧州連合理事会)、各国を代表する議員が集う欧州議会EUの内閣に当たる欧州委員会。その下にも幾つかの機関があり、この3つのいずれにも属さない機関もあります。それどころか、欧州評議会のように、EUとほとんど関係がないのに欧州と名がつく機関もあり、非常に混乱します。正直なところ、EUの構造を完全に理解するのは、国際関係学・国際政治学を学ぶ学生でも難しいと思います。

 

そこで、この記事では、EUについて知るためのお勧めの方法を紹介します。

 

EUの駐日大使館:駐日欧州連合代表部のウェブサイト

EUの構造に関する情報を日本で一番正確に発信するのが駐日欧州連合代表部です。欧州連合代表部は、EUと協力関係にある国に置かれる大使館のような施設で、日本人に対してはEUの価値を知ってもらうための活動をしています。この機関のすごいところは大きく分けて次の3つです。

 

eeas.europa.eu

 

 

EUの大まかな構造がわかる

代表部では、ウェブサイト自体のコンテンツやパンフレットのPDF版などで、EUの構造を分かりやすく説明しています。大使館ですから、歴史や機関の役割に関する説明は確実に正確です。パンフレットに関しては、様々なタイプがあり、パンフレットというには分厚いものもあります。

 

EUで起きた出来事がわかる

EUのリーダー達の主要な声明、機関における主要な決議は日本語で概要が紹介されます。特に、EUは死刑に反対しているため、死刑執行に対する非難声明は頻繁に発信されます。全文読むには、他言語版(今のところ英語を含む)を参照する必要があります。

 

EUの資料がある

EU MAG 駐日EU代表部公式ウェブマガジン

 

前述の通り、代表部のウェブサイトには、EUに関する説明文やパンフレットのような情報が載っており、調べ学習などの資料にも、もってこいです。特に、筆者がお勧めしたいのが、EU MAGです。EU MAGはEU内の問題や、時事問題に対するEUの取り組みなどを紹介するウェブマガジンです。「シェンゲン協定って何?」「欧州理事会って何をするところなの?」と言った疑問に答えてくれるのが、EU MAGなんです。

 


日本国の外務省ウェブサイト

欧州連合(EU) | 外務省

 

EUに対する日本の活動や、日本がまとめたEUに関する情報が載っています。情報量では駐日欧州連合代表部に劣りますが、プレゼン用の資料が置いてあり、分かりやすい図表も多いです。日EUの会議の内容や法文書は外務省のウェブサイトに掲載されています。


欧州連合のウェブサイト(日本語ではない)

europa.eu

 

欧州連合のウェブサイトには、欧州連合代表部以上にい多くの資料があります。中には、写真入りのカラーの分厚い資料を作っている機関もあり、英語であっても非常に見やすいです。ただし、扱う国によっては英語版の資料がないものもあるので、そこが残念です


シンクタンクの資料

EUについて知っているのは政府機関だけではなく、シンクタンクも含まれます。ただし、先進国のような責任ある政府系シンクタンク以外は、情報が信用できるとは限りません。その機関がどのような成り立ちなのか確認してから資料を読みましょう。


研究者の出した出版物

ジャーナリズム発の説明は信用できるとは限りませんが、研究者が出したものであれば、ある程度信用できます。『新EU論』は元EU担当の日本の外交官を含む専門家が書いている本で、EUの仕組みに関して、各分野の専門家が詳しく説明しています。中立性に関しては、EUに強く関わっている人が書いているので問題かもしれません。しかし、情報の信頼度に関しては、非常に高いと思います。

 

 

バカじゃなくてもわからない!

EUは非常に複雑で難しい機関です。今回のイギリスの国民投票について、「バカが理解せずに投票した」と非難することは間違いかもしれません。むしろ、EUについて知り、あるいは理解することのできなかった人が誤解をして、離脱に一票を投じたのかもしれません。言い換えれば、EUやイギリス政府が理解を促進しなかったので、知らなくても仕方なかったのです。我々日本人も重要な選択を誤った時に、「知らなかった」と後悔するようなことのないようにしたいですね。