気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

ご公務の外へ〜皇族方の意外なご功績について〜

天皇陛下生前退位:海外報道のまさかの目の付け所

天皇陛下が退位を望んでおられるという報道がありました。ご公務のご継続の可否は陛下にお任せするとして、今回は興味深い話題を発見したので、そちらをご紹介します。

 

さて、退位に関する海外の報道を覗いてみましょう。当然、日本とは違う着眼点がどこかにあるはずです。例えば、BBCの報道には、”Five things about Japan’s emperor”として、以下のような記述がありました。

 

His passion is marine biology and he is an expert on the goby fish.

Japanese Emperor Akihito 'wishes to abdicate' - BBC News

 

「陛下は海洋生物学に強いご興味を抱かれていて、陛下はハゼの専門家であらせられます」と書かれていますが、何も知らない人は「ご趣味でお魚やハゼのことをよくご存知である」というのを大げさに書いたぐらいに思うのではないでしょうか?あるいは、各種報道で天皇皇后両陛下が水族館をご視察なさっている様子を見聞きすることがあります*1。こうした報道を見ると、ただ単にお魚や水族館にご興味を抱かれているのだと錯覚してしまうかもしれません。でも、実はそうではありません。

 

実際のところ、陛下はハゼ学者としてご活躍されています。宮内庁のウェブサイトには、陛下のご研究の一部が紹介され、配布されています。陛下のご功績はハゼ研究における常識となっており*2、そのご実力は確かなものと言えるでしょう。秋篠宮殿下とご共同で執筆された、学界での従来の見識を覆すようなご論文もあり*3、ご趣味でお少しだけというわけではなく、ご公務と同様に熱心に励まれていることがわかります。

 

有名学会の会員

皇族方が何かの会の名誉会長や会員などを務められていると、ただ単にご公務の一環、つまり象徴として務められているのだろうと思ってしまうかもしれません。しかし、一部に関しては本当の功績に基づいて、招待されています。会員になるために条件があるロンドン・リンネ協会に外国会員として招待され、分類学の祖であるリンネについてご講演をなさったこともあるようです*4。最近では、前述の秋篠宮殿下らと共著された論文がオランダの科学雑誌に掲載されたとの報道もありました。天皇陛下を含め、皇族の皆様は、学問においては決して単なる象徴ではないのです。

 

学を修められる皇族方

前述の通り、学を修められているのは天皇陛下だけではありません。皇太子殿下も各所で水をテーマにご講演をなさっていて、昨年は国連でもご講演をなさっているようです*5。こうしたご成果やご教養の深さを見ると、これだけ恵まれた環境で研究をなさっていることが羨ましくなります。一方で、こうしたご研究等のご成果の一部を我々国民が無料で享受できることも知っておくべきだと思います。宮内庁ウェブサイトには、天皇陛下の論文の一部が無料で公開されていたり、説明されていたりします。私自身は理系でも魚類の専門家でもなく、天皇陛下のご論文を利用させていただく機会はございませんが、そうした学問に携わる皆さんにとっては大変有益なのではないでしょうか?

 

皆さんも皇族の皆様のご公務以外のご活躍にも目を向けてみてはいかがでしょう?