気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。(2017/7/31 一部画像の出典へのリンクが誤っておりました。現在は修正済みです。)

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SNSキャンペーンの失敗:説明書を読まない人間と発想の敗北

電柱フォトコンテスト

ある団体が無電柱化を推進しようと、電柱が風景を害している様子を撮った写真を募集した。

mudenchuka.jp


本来美しい写真が集まるフォトコンテストで、醜(みにく)い写真を募集するという奇をてらった企画。のはずが、風情ある風景写真が殺到してしまった。


無電柱化すべきでないという政治的なメッセージや、写真の地位を落とす企画への抗議の意味もあると思うが、説明を見ていないことにも理由はありそうだ。

 

www.j-cast.com

 

ソーシャルメディアのかじ取り役

ソーシャルメディアのかじ取り役は、企業ではなくユーザーだ。企業がどんなに厳しくルールを定めても、ユーザーはそれを無視する。今回のフォトコンテストでも、団体が意図しない方向に話題が展開されてしまった。


ネット上のユーザーの話題を制限するというのは、レストランで客が話す話題を監視するようなもので、無理に近い。この記事では、いくつかの失敗例を挙げながら、話題を操作することがどれほど難しいかについて考えていきたい。

 

 

ハッシュタグは自由

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Photo via pixabay

過去に、人気テレビ番組が設定したハッシュタグが、海外の既存コンテンツと被ってしまうというトラブルがあった。番組は、急きょ別のハッシュタグを用意した。


あるいは、新番組が何回「このタグでツイートしてください」と言っても、ユーザーが別のタグでツイートし、番組側が折れてしまうケースも。


ハッシュタグを設定し、キャンペーンをやったとしても、全員がキャンペーン主催者の思惑通りに書き込んでくれるわけではない。ひとつめの例のように、2つの話題間でのハッシュタグの重複も起こりうる。


ハッシュタグはルールでも絶対でもないので、ハッシュタグをコントロールできるとは思わないことだ。

 

◯◯かと思ったら違った

全員が全員、同じ趣味を持っているわけではない。トレンドワードの中には、ある趣味を持つ人と、別の趣味を持つ人の間で意味が異なるものもある。


例えば、「キンプリ」というのは、アニメ映画『KING OF PRISM』の略称だ。しかし、ジャニーズのアイドルユニットも同じ略称を使用していたらしい。「キンプリ」がトレンド入りした際、ジャニーズ側のファンが「キンプリ」に何かあったのかと心配する声もあった。


同様に、「Mステ」といえばテレビ朝日系列の音楽番組「MUSIC STATION」だが、「アイドルマスター SIdeM LIVE ON ST@GE」も同じ略称を使いはじめた。現状、テレビ朝日側の商標権は侵害していないようで、合法といえる。


こうなれば、マーケティング目的で1つの単語に関する書き込みを監視するというのにも、限界がある。ソーシャルメディアの流れを掴み、ビジネスに活かすというのは想像以上に難しいことだ。

 

ユーザーが使い方を決める

ソーシャルメディア上には、100円ショップのグッズを本来の使い方とは別の方法で使うという、提案の書き込みも多い。(例:お皿をパレット代わりにする。)


たとえ生産者・販売者が意図しないやり方であっても、一度広まった情報を止めることはできない。危険な使い方であった場合、メーカーのサイトなどで注意を促す必要があるが、安全な使い方ならば文句を言うことはできないだろう。

 

ユーザーはラベルを気にしない

ユーザーは「これは◯◯です」という定義すら気にしない。例えば、ペン型のふりかけ容器というユニークな商品を、本物のペンと勘違いして職場に持っていった、という失敗談がネット上で話題になっていた。その商品は、パッケージにふりかけであることが書かれていたようだ。


このように、明文化する・しないにかかわらず、アイディア商品のアイディアは簡単に伝わらないと思ったほうがよい。どんなに画期的な仕組みを作っても、直感的に使い方がわからないと、ユーザーはそれを作り手の意図通りに使ってくれない。


でも、ポジティブに考えると、方法さえ工夫すれば、作り手の意図通りに商品やサービスを使ってもらえる。ソーシャルメディアでは、アマチュアの個人ですらも、意図する方向に話題を持っていくことができる。


ソーシャルメディアを活用する企業におかれては、写真・イラストや動画で使い方を説明して拡散してもらうというのが、ヒットへの近道になるだろう。

 

電柱フォトコンテストはどうすればよかったのか?

電柱フォトコンテストの最大の敗因は、話題の方向性をコントロールできると思い込んでいた傲慢(ごうまん)さにある。


単にフォトコンテストをやりたいのであれば、フォームに投稿してもらって、ソーシャルメディアで投稿ページをシェアしてもらうというやり方も存在する。実際には投稿フォームもあるのだが、ソーシャルメディアばかりが注目され、意図せぬ投稿で溢れてしまったようだ。


ソーシャルメディア上で、一目で「電柱反対なんだ」「電柱によって風景が害されている写真を投稿するんだ」とわかってもらえるハッシュタグを設定し、反対派の写真を集めるのが、このキャンペーンの正しいやり方だったのではないだろうか?

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