最近(最近に始まったことではありませんが)、政府高官や国会議員などの発言の一部を取り出して恣意的に報道することが多くなっている気がします。
事実を知らずに報道内容から政治家を叩くのはスマートではありません。
報道は(恣意的であれ、好意的であれ、)解釈であり、事実を見なければ本質はわからないのです。
この記事では、筆者が国際関係学を専攻していた経験から、政府関係の報道内容を裏付ける情報の集め方をいくつかご紹介します。
統計
政府の統計はそれぞれ担当している省庁や地方自治体のウェブサイトに掲載されています。例えば、国際収支であれば、財務省のホームページに掲載されています*1。
これは、統計自体の報道だけでなく、統計を利用した政策の解説に対しても有用です。
ただし、政策というものは複数の省庁で協力してやるものです。
例えば、TPPを農業の政策だと思って農林水産省のウェブサイトだけを見るのではなくて、経済産業省、外務省、内閣官房など複数の省庁のウェブサイトを参照しましょう。
機関によって出す情報や数値の出し方に違いがあったり、その評価が分かれていたりする場合があります。
貿易や人口のように政府が管理しているものは政府に情報がありますが、企業や雑誌に情報がある場合もあります。
政策や法案・法律の内容
既に実施された政策の内容は各省庁や自治体のウェブサイトに、提出された法案は各議院・各議会のウェブサイトにあり、法律の内容は法務省がまとめているはずです。
提出側の意図に関しては、提出した政党や議員のウェブサイトを参照すればよく、各議員の見解は各議員のウェブサイトやSNSを参照すればある程度わかると思います。
国会や地方議会の模様
国会や地方議会の模様は、動画配信されている場合があります。
議事録もウェブ上で公開されています。ただし、文字の議事録では、言葉だけでは伝わらない部分(抑揚や表情など意図を示唆するものを含む)が記載されていないので、注意が必要です。
首相や内閣官房長官、国務大臣の会見や談話
基本的に、担当部署のウェブサイトに掲載されます。首相は首相官邸、内閣官房長官は内閣官房のウェブサイトです。
国会同様、会見にも動画があります。文字に起こしたものも掲載されます。特に、終戦記念日などの談話は一字一句が大切になるので、文字に起こしてあるものは大変有用です。
国際会議や会談の模様・内容
国際会議や首脳会談の模様は、外務省のウェブサイトに掲載されます。声明や宣言の仮訳も外務省のウェブサイトに掲載されるので、報道の内容と比較ができます。
ただし、天皇陛下や皇族方の各国の皇族方とのご交際の模様は宮内庁のウェブサイトに掲載されます。
ちなみに、よくある誤解ですが、外務省以外でも外交は行います。各省庁の外交の内容は各省庁に載っています。
最近、舛添都知事が海外を回っていますが、あれも都知事としての仕事でしょう*3。
国際機関・他国の情報
それぞれのウェブサイトに載っています。
もちろん、それぞれの国の言語という条件付きですが、英語圏の国や、英語が公式の言語に含まれている国際機関では、確実に英語のページがあります。
これを利用して、国際会議や首脳会談の参加国の解釈の整合性*4も確認がとれます*5。
もちろん、日本と国交のある国の駐日大使館(駐日欧州連合代表部を含む)や日本が参加する国際機関には日本語のウェブサイトもあり、日本人向けに情報やパンフレットのPDF版を出している場合があります。
最近ではTwitterやFacebookでも広報活動を行っているようです。なお、国によって開示レベルが異なるので、見られない情報がある国もあります。
今回は政府の情報の確認方法をご紹介しました。次回は、政府以外の情報の確認方法をご紹介する予定です。