前回は政府の情報の確かめ方を紹介しましたが、今回は政府以外の情報です。
政治に関する報道を中立的な立場から見る方法 - 気持ちのサンドバッグ
企業の情報
株式上場企業の出した決算などの情報は、企業のウェブサイトのIR情報のページにあります。
子会社のウェブサイトに載っていない場合は、親会社のウェブサイトにあるかもしれません。その他の情報はプレスリリースとして出されているはずです。
日本でCSRと呼ばれている社会貢献のための活動については個別にページを設けて紹介しているケースがあります。
企業のTwitterアカウントに関しては、不適切な発言をしたアカウントが偽物の可能性もあるので、公式ウェブサイトからアクセスして確認するのがよいと思います。
NGOやシンクタンクなどの報告
政府の文書は報道における解釈を取り払うのに有用ですが、政府の文書を眺めているだけでは報道との整合性しか判断できません。
人権状況であれば人権NGOも情報を出しています。NGOの情報であっても、報道であっても、複数を比較することが大切で、1つの記事を見て事実と認識してやたらめったらに叩くというのは賢明ではありません。
非政府組織の報告書には、国際問題や特定の国家における問題が最も弱い人々の視点から報告されています。
シンクタンクのウェブサイトにも、学者の立場から政策などについて考えた論文や小さな記事があります。
もちろん、ひとつの報道機関だけが手にした特ダネスクープもあるかもしれません。でも、すぐに信じずに状況を見極めることが大切です。
SNSへの投稿
SNSへの投稿は、信憑性が高そうに見えて、実はそうでもありません。
SNSでのシェア数は必ずしも信憑性を表しません。「信じたい」情報や共感した情報もたくさんシェアされるのです。
物議を醸す投稿には必ず返信がつきます。返信の内容に批判的なものがあった場合は、批判的な内容の投稿も追うようにしましょう。
文字を画像にした投稿のうち自作の文章ではないものは、捏造やコラージュの可能性があるので、特徴的な語句で検索をかけて原典を確認しましょう。
どんなに多くの人からシェアされた投稿であっても、シェアするのは自分が信憑性が高いと判断したときだけにしたほうがタイムライン上のフォロワーも安心です。
個人によるまとめサイトへの投稿
匿名のまとめサイトやBBS(電子掲示板)への投稿は、まずは信用せずに、ソースとして挙げられているウェブサイトやSNSの投稿などを参照してください。
ソースがない記事は無断転載や全くの捏造、事実を歪曲したものなど、疑わしいものの可能性が高いです。
投稿者が悪意を持って投稿している可能性も否定できません。衝撃的な内容を書いた方がアクセスも伸びるし、ネットで注目も浴びます。
拡散するのは、信憑性が高いと思ったものだけにしましょう。
本
本は信用できそうなメディアですが、それは書いた人にもよります。本が全て信用に値するわけではありません。
特に、新書や大衆向けに書かれた本では、タイトルを衝撃的にして興味を惹いているケースがあります。
逆に言えば、タイトルで主張の方向性がわかるので、あまりに過激なタイトルのものは読まないほうが身のためかもしれません。
カラーのパンフレット
カラーのパンフレットは見た目に騙されないことが大切です。
写真や色で華美に飾られていると、紹介されている情報がとてもいいものだと誤認してしまう恐れがあります。
カラーのパンフレットは様々な機関から発行されています。
人権団体も同様で、例えば、アフリカの子どもの写真を利用して、支援活動を過剰に賞賛(あるいは過小に評価)することができます。写真に騙されないように気をつけましょう。
ここまで、報道の裏付けとして有用な手段を紹介してきました。賢い市民の方は、報道の情報に踊らされないようにしましょう。