気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

「シャープ製品公式」から学びたい公式アカウントの注意点

ソーシャルメディアで公式アカウントが炎上しないために

件の「シャープ製品公式」Twitterアカウントが停止されることが発表された。

 

これは、任天堂から発売される「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」について、収録ソフトを値踏みして批評するツイートを任天堂に送りつけたことによる。

 

広く知られた「シャープ株式会社」のアカウントとは別のもので、そちらは停止されない。

 

nlab.itmedia.co.jp

 

今回の問題がここまで大きくなったのは、企業アカウント同士の馴れ合いや、企業のソーシャルメディアアカウントのあり方を勘違いしたことにあると見て間違いない。

我々は、この失敗から学ばなければならない。


今回の記事では、私個人が考えた学ぶべきポイントを書き込むので、表などを作成して自由に批評していただいて構わない。

 

 

 

 

評論家の評価と同業者の評価は違う

今回、一番まずいのは、仮にも製造業の代表格であるシャープのアカウントが同業者の任天堂の製品をけなしてしまったことである。

 

もちろん、家電製品とテレビゲームでは畑が違うかもしれないが、製造業という立ち位置は同じだ。飲食業で喩えればわかりやすいだろうか?

中華のチェーン店を営業している会社の広報が、畑違いのイタリア料理チェーンの料理をまずいというようなものである。


中華チェーンからすれば、イタリアンチェーンはジャンルの違う他業種のように思えるが、巨視的に考えれば同じ飲食店だ。

同業他社を悪く言うやり方は商売としてフェアと言えず、自社の品位を落としている。

 

そういう意味で、シャープのアカウントが任天堂の製品を貶してしまったことは不適切である。

 

同業他社の製品への批判はフェアとは言えない。

 

企業同士のやりとりは信頼関係による

我々の友人とのやりとりが信頼関係によるものであるのと同様に、企業のアカウント同士にも信頼関係が作られている。

だから、他業種の広報であっても知り合いであれば、馴れ馴れしい会話(もしくは実際に会っている写真の投稿など)が繰り広げられる。

 

距離感を誤った会話

友人同士の「昨日財布落として大変だったんだよ」「お前ってバカだよな」というような日常会話であれば、問題はほとんどない。

でも、もしあなたが知らない人から突然、「お前ってバカだよな」と話しかけられたら、間違いなく「なんだこいつ? いきなり失礼だ」と思うだろう。

 

それがそこまで信頼関係のなかった任天堂とシャープ製品公式アカウントの間で起こった。

そこまで信頼関係のないアカウントにいきなりリプを送ったら怖がられるし、企業であればなおさらである。

 

信頼関係のない企業と馴れ馴れしく絡んではいけない。

 

権威を気取らない

よく商売人は謙虚であれという人がいるが、公式アカウントの場合は威張らないことが大事だ。

 

広報の究極的な目標は書き込みの拡散でみんなに商品やサービスを知ってもらい、手に取ってもらうことである。

だから、頑固なラーメン屋店主のような態度はSNSアカウントとは水と油の関係だ。

 

ユーザーと同じ目線で

むしろ、そのメディアの雰囲気に合わせて、できるだけ一般ユーザーと同じ目線で書き込みたい。

 

例えば、その企業の社員・業界人だからこそ知っている知識を書き込むにしても、「バカどもに教えてやる」のではなくて「お客様に役立つ知識を提供する」という態度が求められる。

上から下ではなく、横から横もしくは下から斜め上のコミュニケーションが必要なのだ。

 

ユーザー目線で謙虚に書き込む。

 

公式アカウントのあるべき立ち位置は広報

基本的に、製品・サービスに関することと広報そのものに関すること以外は書き込まない方がよい。

 

例えば、唐突に他社の製品・サービスについて書き込み、その後にコラボを発表するなど、戦略的な書き込みであれば問題ない。

しかし、本当に関係ない書き込みはできるだけ避けた方がよい。

 

中には、アニメの公式でありながら女の子同士がイチャイチャするショートストーリーを書くものもあったが、あれは職権の乱用だと思う。

 

書き込みが商品のイメージを形作る

公式アカウントはあくまで広報なので、その書き込みは会社や製品のイメージに直結する。

 

その内容が肯定的・否定的であるにかかわらず、関係のない・質の低い書き込みで品位を下げることは避けたい。

(もちろん、ユーザーのためになる書き込みは品位を上げるので、本業を圧迫しない範囲で行って構わない。)

 

書き込まないと不信感につながる

逆に、書き込みが少ないと不信感につながる。

たとえリリースできる新情報がなかったとしても、1週間も書き込まなければファンはつまらないし、企業やサービスが存続しているのか心配になる。

 

せめて、既製品を宣伝するなど、ユーザーを心配させないやり方をしたい。

また、面白いことを書き込めなくても、平凡な内容でよい。下手に滑るよりはマシだ。

 

公式アカウントは宣伝やユーザーのためになる情報を書き込むべきだ。

 

自由を履き違えない

公式アカウントは個人のものではない

一部では、アカウント管理者にも言論の自由があるという意見があるようだ。

しかし、公式アカウントの書き込みにおいて、管理者の表現の自由言論の自由は制限される。

 

そもそも、公式アカウントというのは、個人の所有物ではない。

法律には定められていないが、法人の所有物である。

 

だから、管理者の勝手で不適切な書き込みをすれば、それが企業や団体の意見になってしまう。

 

企業を代表して書き込むということ

伝えるべきことを伝えるという最低条件をクリアしつつ、文章を適切にアレンジすることは許される。

しかし、企業の品位を下げてしまうような書き込みをすることは、たとえそれが正義であっても、ジョークであっても許されない。

 

日頃から、誰として書き込んでいるのかを考えることが大事である。

 

公式アカウントは法人のもの。