食べ物に牙を剝くInstagramの大波
ここ数ヶ月で天下のNHKすらもインスタ映えを意識するようになっている。
6月の番組では、インスタグラムに限定せず、「SNS映え」という形で過剰とも言える飲食店の売り込み戦略について特集していた。
若者のインターネットの利用目的がSNSに移り、消費者間でネットを通じて情報を広めてもらうことの重要性が増している*1。
その上、言葉よりもビジュアルによるコミュニケーションが重視されつつある*2。
Twitterでは、メモ帳アプリをわざわざスクリーンショットで撮影し、注目してもらうという拡散方法も常態化している。
そんな中で、SNS映えする商品を作るのは、避けられないことなのだろう。
Instagramとは
紹介が遅れたが、インスタグラム(Instagram)というのは、おしゃれな写真を通じてユーザーが交流するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である。
ユーザーはコーヒーのラテアートをはじめとして、食べ物や飲み物をおしゃれに撮影したり、おしゃれな食べ物・飲み物を載せたりしている。
そんな中で、インスタグラムに載せるために食事を摂るという文化が主流になっている。
つまり、見栄え・写真写り第一の食文化が興っているのだ。
※当ブログではInstagramのアカウントを設置していない。
私が写真下手な上、プライバシーをあまり晒したくないからだ。
というか、Instagramなんてほとんど注目してなかった。
今日初めてアクセスした。
食べ物を粗末にする一部ユーザー
SNS戦略として、お店が盛り付けを頑張るだけであればよかった。
だが、話題の食べ物をインスタグラムに載せるためだけに注文して、食べ残しをするなどの悪質な事例も報告されている。
今この瞬間にも、そうしたフォトジェニックな(photogenic/写真写りのよい)写真を撮るために、多くの食べ物が犠牲になっている。
最近話題になっているのは、マクドナルドの飲み物のストローにハンバーガーを刺すことによって写真映えさせるというものだ。
従来の食文化であれば、「お行儀が悪い」「食べ物を粗末にするな」と怒られていただろう。
だが、写真としてはインパクトがあるので、いいねが集まってしまうのである。
このように、脚光の陰で犠牲になっている食べ物の存在は忘れてはならない。
鮮やかさの代償
SNSで目をひくには、鮮やかな写真を撮る必要がある。
そのため、パンケーキやスタバのフラペチーノをはじめとした砂糖やクリーム、人工着色料がふんだんに使われたお菓子や飲み物の消費が常態化している。
このままだと、栄養不足なのに肥満という状況になりかねない。
前述の通り、ダイエットとインスタグラムという相対する習慣が共存するために、炭水化物を残すという文化の歪みが生まれた。
普通であれば、太りたくない人はラーメン屋や寿司屋には行かない。
しかし、インスタグラムに載せたいので、太るお店に行かざるを得ないのだ。
薄々感づいているとは思うが、これまで挙げたような食べ物は半分(あるいは穀物で作られた部分を)残したぐらいでは、ダイエットには繋がらない。
残してもどうせ太るだろう。そんなことをするのであれば、しっかり食べて健康になった方がよい。
インスタ映えしない食べ物の地位?
ここまで提示してきた食べ物の多くは横文字だった。
なぜインスタグラムで洋食や洋菓子が流行るのか?
和食はあまり話題にならないのか?
どうして変身するたびに頭が痛むのか?
答えはシンプルだ。
和食は色が地味で、こじんまりとしていて、インスタ映えしない。
そんな中で、例外的にインスタ映えするのが魚の刺身である。寿司屋にユーザーが殺到するのも納得だ。
じゃあ、その他の和食の地位はどうなる?
サラダうどんなど本来和食ではないものに変えていかないと、若者の食文化から和食が消えてしまう。
もちろん、ひやむぎの色つき麺など、インスタ映えしそうな食べ物はある。
なので、そうした食べ物の存在を周知して、SNS映えしない食べ物を残していく必要がある。
Instagramのコト消費
今話題になっているのが、ナイトプールにおける撮影だ。
ナイトプールは自分を撮るだけなので、食べ物を粗末にすることはない。
撮影に役立つ設備はすでに用意されているので、撮影のために何かを買って、捨てるというようなことは起きづらいはずだ。
インスタグラムでは、モノが浪費されている現状がある。
ブームをモノ消費からコト消費に移行させることで、文化の歪みをなくしていけるのではないだろうか?