スクメロは2.5次元コンテンツとして王道か? 邪道か?
突如現れた2.5次元アイドル「アプリコット・レグルス」。本人たちの説明不足もあり、その実体がうまく伝わっていない気がする。
彼女たちはライトノベル風RPG「スクールガールストライカーズ」というゲームから誕生した新しい音楽ゲームの新キャラクター。
これからゲームに触れる人にぴったりの入り口でもある。
もっと多くの人にこのコンテンツに触れてほしいのだが、あまりに風変わりなコンテンツなため、ハードルが高いようだ。
そこで、この記事で彼女たちのことを説明したい。
スクールガールストライカーズ トゥインクルメロディーズとは
まずは、公式のプロモーション・ビデオ(PV)を見てもらいたい。
動画では、5人の少女たちがアイドル活動を始める様子が描かれている。
主人公の少女は失敗を恐れ、ステージに立つことをためらう。だが、楽しむことが大切なのだと気づき、ステージへと駆け上がっていく、というストーリーだ。
校舎にポスターを貼ったり、学校でビラを配ったりする描写からも分かる通り、彼女たちは学校内のアイドル(スクールガール)である。
ストライカーズとは
「ストライカーズ」が何なのかといえば、戦士だ。なぜ戦士なのかというと、この「スクールガールストライカーズ」という作品は、もともと女子中高生の戦士の活躍を描くものだったから。
しかし、この世界の少女たちは戦士の代わりにアイドルをやっている。実は「アプリコット・レグルス」は原作に登場していないので、アイドル専用キャラクターである。
少女たちが戦士ではなくアイドルをやっている「もしもの世界」を描いたのが、「スクールガールストライカーズ トゥインクルメロディーズ」(スクメロ)の世界観なのだ。
ゲームの内容
一応、ゲームの内容にも少しだけ触れておく。このゲームは、画面上に出現するアイコンをタイミングよく押すというシンプルなものだ。
下の動画(公式)では、一番難しいEXPERTの譜面を、リズムゲームが得意なスタッフがノーミスでクリアしている。
リズムゲームがうまい人でないと楽しめないというわけではなく、ゲームの内容が手に取るように分かる動画という意味で掲載した。
アプリコット・レグルスの活動
アプリコット・レグルスのバックグラウンドについては、わかってもらえただろうか? 彼女たちはトゥインクルメロディーズのために結成されたアイドルユニットだ。
それで、何が理解を阻害しているかといえば、独特の2.5次元活動である。
アプリコット・レグルスのメンバーは、全員キャラクター名で活動していて、演者によるいわゆる2.5次元活動をする。彼女たちは、あくまで役を演じている。
それは例えば、次のような活動だ。
- ネット番組への出演
- ライブ活動
- Twitterへの投稿
上記2つは理解できると思うが、基本的に中の人の素を出さずに、役として出演しているのがポイントだ。そのため、「私はとてもかわいい」など、普通の人が言わないことを平気で言う。
一方で、ネットラジオでは、バームクーヘンが好きという設定のキャラクターの役者が「利きバームクーヘン」をするなど、役者のプロフィールをキャラクターに反映させていると思しき場面もあった。
ゲームキャラとは何なのか考えさせられるTwitter
そして、最後のひとつが厄介である。Twitter内での活動が自由すぎて、常人には理解できない。
一般的なキャラクターアカウント
キャラクターもののTwitterアカウントといえば、サンリオのものを思い浮かべる人も多いと思う。
サンリオ社のアカウントでは、キャラクターが投稿しているという設定で、キャラクターのイラストが掲載されたりする。
ときどき現実世界でのキャラクターイベントに言及することもあるが、基本的には「中の人」の写真は登場しない。「リルリルフェアリル」の五城桜監督ですら、イラストになっている。
アプリコット・レグルスのアカウント
一方、スクウェア・エニックスのアプリコット・レグルスは、演者の写真を普通にアップロードする。
演者による自作のイラストも投稿しており、一部の演者は、明らかにゲームとは関係のないオリジナルキャラクターまで描いている。
ゲーム内のキャラクターなのに、ゲームをプレイしていることになっていて、フルコンボを達成したときのスクリーンショットや動画などもアップされることがある。
それから、スクストの世界は架空の地名が登場する世界なのに、池袋や新宿に普通に出没するというところに違和感を覚える人もいるようだ。
このように、彼女たちは2.5次元の中でも極めて難解な立ち位置におり、拒否感があったり、あるいはファンによるなりきりアカウントだと思われていたりするのかもしれない。
ツイートに対する反応も、お気に入りがリツイートの4-6倍になっていて、あまり積極的に触れたくない人がいるように思える。
でも、彼女たちは人間に危害を与える存在ではないので、安心してリツイートしてほしい。
本当に新しすぎる? こう考えてはどうか?
旧来の2.5次元コンテンツ
アプリコット・レグルスは、新しすぎて立ち入ってよいのかわからない、敷居の高いコンテンツだと思う。だが、多くの子どもたちは、このような状況に触れてきたのではないだろうか?
テレビ東京系列の児童向け情報番組「おはスタ」では、多くのタレントがキャラクターとして出演してきた。
例えば、声優の森久保祥太郎さん演じる「怪人ゾナー」はあくまで怪人ゾナーとして、番組に出演した*1。視聴者の一部からは森久保祥太郎として扱われたかもしれないが、番組内では怪人ゾナーを貫き通す。
実は伝統的な手法?
アプリコット・レグルスも、声優がキャラクターを演じているものを、あくまでキャラクター本人として扱う。
役を演じながら番組やイベントに出演するという点では、おはスタ(旧来の2.5次元コンテンツ)と本質は変わらないはずだ。
ネット上の諸君には、アプリコット・レグルスは2.5次元コンテンツの一種であって、キャラクターと役者の混同でないことを理解していただきたい。
最後に、彼女たち(役者の方)は原作のスクストもしっかりプレイしているということを付け足しておく。