いじめを隠蔽した学校や教育委員会の責任
いじめを受けた神戸市の生徒が自殺をした事件で、教育委員会が証拠となりうる聞き取りメモを隠蔽していたことがわかった。
メモが隠されたことで、いじめの認定に約10ヶ月もの時間を要した。
この事実が判明し、遺族の無念はより一層強まっている*1。
この問題について私が感じるのは、なぜ隠蔽という誰も得しない道を選んでしまったのかという疑問だ。
何事においても、隠蔽というのは公表するよりも悪い結果を招くはずなのに。
隠蔽のコスト
責任は元からあった
このメモを隠蔽してもしなくても、学校と教育委員会は責任を負ったはずである。
この事件でも、最終的に生徒の証言などの証拠でいじめが発覚した。
教育委員会らはメモの公表によって事務処理が面倒になるという言い訳をしている。
だが、実際は自分たちの地位や役職を守るためだったのだろう。
つまり、地位や役職の剥奪というコストを恐れて、隠蔽という「安全」な道を選んだのだ。
隠蔽すると責任が重くなる
いじめを認めてしまうと責任*2を取ることになるので、うやむやにした。
でも、現実には、いじめを隠蔽したほうがより責任は重くなる。
いじめを隠蔽するという直接的な行為をすることで、教育委員長や校長の責任が明確化される。
- いじめや自殺を防げなかった責任
- いじめを隠蔽した責任
二重の責任を背負うことで、立場は悪化する。
それは死体の発見を恐れた殺人犯が死体を山奥に遺棄するのと似たようなものだ。
本人たちはバレなければよいと思ったのかもしれないが、実際にはどこかでバレる。
結果として、ふたつの罪を負うことになる。
教育委員会も、最初からいじめを認めていたほうが責任が軽くなったはずだ。
問題を隠蔽しなくても責任はあるが、隠蔽するとそれが重くなる。
解決への評価
問題の発覚よりも解決
一番よいのは、いじめをいじめの段階で解決し、最悪の結果を防ぐこと。
そのために必要なのは、いじめを解決したときの評価が判明したときの評価を上回るという認識だ。
もし「いじめがバレたら、責任を取らなければならない」「評価が下がる」という認識が教育委員会にあるのだとすれば、隠蔽という不合理な行動をとっても仕方ない。
でも、学校や教育委員会は児童・生徒を教育する立場である。
いじめの解決という教育をしたほうがよい。
いじめを解決すれば評価が上がるような仕組みにすべきではないのか?
なくすよりも即解決
もちろん、いじめがまったくないに越したことはない。
だが、いじめを隠蔽しているなら、いじめを推奨しているも同然だ。
まったくなくすことは難しいかもしれないが、発覚したらすぐに解決できるようにする。
それが重要だと思う。
問題の発覚で評価が下がるのではなく、問題の解決で評価が上がるようにすべきだ。
問題をまったくなくすよりも、解決のほうが簡単である。
いじめを告発するライフハック
最後に、実際にいじめがあった場合、隠蔽されない確実な告発の方法を考えたい。
匿名サイトの利用
一番簡単な方法は、ネット上で議題にすること。
インターネットには「消すと増える」という法則があるので、隠蔽しづらい。
例えば、はてな匿名ダイアリー(通称・増田)はアカウントさえ作れば、個人情報をまったく出さずに書き込みができる。
都道府県と市区町村だけ特定して書けば、ネットで拡散されて隠蔽のしようがなくなる。
もちろん、あなたやいじめっ子・いじめられっ子などの名前を書いてはいけない。
「◯◯市の高校で担任にいじめを報告したら、取り合ってくれなかった」などのあいまいな情報がよい。
大手メディアの告発サイトなど
他にも、朝日新聞や週刊文春などで内部告発を受け付けるサイトがある。
中には画像や動画を投稿できるものもあった*3。
いじめが学校にもみ消されたなどの問題があれば、ぜひネットや週刊誌などの大きな力を頼ってほしい。
いじめ告発サービスなどもあるが……
調べている中で発見したのが、匿名でいじめを告発するサービスだ。
ラベルだけ見れば画期的に思えるのだが、いまいち実効性に欠ける内容である。
というのも、自治体や学校が契約するタイプのサービスだからだ。
自治体・学校単位でいじめを隠蔽している現状をみれば、このサービスによるいじめ撲滅は絵に描いた餅と言わざるを得ない。
いじめはネット上でも告発できる。
民間のいじめ通報サービスもあるが、実効性に疑問の余地がある。
*1:遺族のコメントも参照。
中3自殺の遺族「裏切られた気持ち、報告書信用できず」:朝日新聞デジタル
*2:いじめや自殺を防げなかった責任。
*3:「消すと増える」が原則のインターネットの中で唯一の例外がある。それは、画像が著作権侵害だと嘘の申告をする方法だ。そうすることで、検索から画像を消すことができる。だから、証拠画像はインターネットの外のメディアに提供したほうがよい。