気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

過去にヘイトスピーチをしていたら人生終了なの?

今からできるSNSの炎上対策

過去にヘイトスピーチをしていた小説家の問題を受けて、Twitter上には

「過去にヘイトスピーチをしていたら人生終了なのか?」

「それこそ差別ではないのか?」

という意見が相次いでいる。

 

私が思うに、ヘイトスピーチをしていたからといって、人生が終了することはない。

彼らにはソーシャルメディアの使い方について、誤解がある気がする。

 

 

 

 

ツイートの削除は心変わりの証拠

非難すべきは過去にヘイトスピーチをしたことがあるという経験ではない。

自分と違う人々を憎む心である。

つまり、発言を撤回し、心を入れ替えたことを示すのが大切だ。

 

Twitterでは削除しない限り発言が残る。

過去の不適切な発言を残しているのであれば、今もそう思っていると受け取られても仕方ない。

 

今はヘイトスピーカーでないのであれば、せめて露骨に差別用語を使っているツイートぐらいは消すべきだ。

 

Togetterの投稿の削除

ここで問題があるとすれば、まとめメディアのTogetterには発言が残ってしまうということである。


Togetterは誰でも利用できて、Twitter上に公開されているツイートをどれでもまとめることができる。

もし、あなたの不適切発言がTogetterに残っているのであれば、削除する必要がある。

Togetterにログインすることで削除が可能だ。

 

アカウントを消す場合も、その前にTogetterで引用されているツイートを消すことをおすすめする。

Togetterに引用されたツイートはアカウントを消しても消えない。

 

詳しい消し方はTogetterのヘルプページから。

まとめから自分のツイートを削除する · トゥギャッターのヘルプと使い方

 

アーカイブサイトは消せない!

それから、ウェブ魚拓Internet Archiveのように、ウェブサイトをそのままの形で保存するツールがある*1

ユーザーがリクエストすることで、その時点でのウェブサイトの状態が保存されるというものだ。

それらは、基本的に削除が不可能とされている。

 

じゃあ、逃げ道はないじゃないかと思うかもしれない。

でも、目をつけられる前に消せば、炎上の予防にはなる。

これを機に過去のツイートをさかのぼり、ツイートを消そう。

 

TwitterのWeb版や公式クライアントで「(アットマークなしのユーザーID) 不適切な用語」と検索すればよい。

 

ツイートを消すことで、今はそう思っていないことを示せばよい。

Togetterにもツイートが残っている可能性があるので、消そう。

アーカイブサイトは消えないので、他者にアーカイブされないうちにツイートを消す必要がある。

 

「ツイ消しは甘え」文化は悪

よく「ツイ消し(ツイート消し)は甘えだ」という言葉を聞く。

ツイートを消すのは、自分の発言に自信を持てない臆病者だという考え方である。

これは一部の極端な考え方だと思ってほしい。

 

発言に自信や責任を持つことと、不適切な発言を訂正せずに残しておくことは違う。

国会議員がそうしているように、発言が間違っていると思ったら、すぐさま削除すべきだ。

 

ルールやマナー以前の話だ

「好きに発言できないのは窮屈だ」

「『ポリコレ棒』ではないか?」

「ルールやマナーに縛られたくない」

という反論もあると思う。

 

だが、これは正しい・正しくないの問題ではない。

誰かを傷つけている刃物の山を残しておくか取り除くかという話である。

 

あなたに求められているのはお行儀よくツイートすることではなく、発言によって誰かのアイデンティティを踏みにじらないことだ。

 

議論の余地はない

「発言を残すことで議論の活発化を促したかった」などの言い訳も通用しない。

 

そもそも、「議論を促したい」は加害者のセリフではない。

議論が起こることで自分達に向けられた悪口をたくさん目にしなければならないのは被害者だ。

ネット上に悪口がこだまするのであれば、二次被害と言わざるを得ない。

 

被害者達が自分のことはいいから、議論に役立ててほしいと言ったなら話は別である。

しかし、ヘイトスピーチの加害者が自ら、被害者の合意を得ずにツイートを掲載し続ける行為は悪である。

 

不適切なツイートを消さないのは、無責任だ。

ヘイトスピーチのツイートを削除すべき最大の理由は、被害者が存在するから。

ツイートを残すことでヘイトスピーチに関する議論を促す権利は、加害者にはない。

 

ツイートは「便所の落書き」ではない

ツイートを「便所の落書き」と評する人もいる。

個人が自由に独り言を吐き捨てる場所であり、他者への配慮は必要ないというのだ。

 

それは違う。

ツイートは便所の落書きと違って名前を書くし、個人を区別する。

ツイートの発言者を特定することは便所の落書きよりも簡単で、便所の落書きよりも多くの人が目にする。

 

個人が全世界に発言を公開するのがTwitterだ。

全部あなたの発言だとバレるのだから、不適切だと感じる発言は消すべきである。

 

低俗な空間だから許される?

ひとつ反論があるとすれば、「Twitterは言論空間などという高尚なものではない。低俗な空間だ」という指摘である。

 

でも、低俗なものにも低俗なりのしきたりがある。

どんなに低俗なバラエティ番組も、度を超えればBPO送りになる。

 

そもそも、Twitterはルールで差別を禁止している。

暴言や脅迫、差別的言動に対するTwitterのポリシー


文脈と発言者の違反歴を考慮して処分を決めるとのことだが、基本的にヘイトスピーチはルール違反である。

 

低俗というのは一部のユーザーの感想にすぎない。

Twitterにもルールがあるということを忘れずに。

 

ツイートは便所の落書きと違って、個人の意見として公開されている。

Twitterにはヘイトスピーチを禁止するルールがあり、「低俗な空間がどうこう」という問題ではない。

 

ネット上の発言は永遠に残るといえども

ネット上の発言は永遠に残る。

だが、人間の考えは移り変わっていくものだ。

 

一度差別的なツイートをした人を永遠に悪者にしたり、社会から排除して反省の機会を奪ったりするのはよくない*2

反省が済んだら、蒸し返さないことが重要ではないだろうか?

 

ネット上の不適切な発言が減ることを願う。

*1:スクリーンショットはいくらでも改ざんできるので、証拠能力は低いとされている。一方、アーカイブサイトはTwitterなどのサイトを解析して、再現する。一定の信ぴょう性がある。

*2:とはいえ、不適切なツイートは削除すべきだ。所属団体や取引先に迷惑がかかる場合もある。そうなれば、今回の漫画家のような結果を招きかねない。