バ美肉によるプライバシー・肉体からの解放
YouTubeやTikTokでの動画配信が人気を集めている。
しかし、人気者になりたい人でも、自分の顔を全世界に公開するのは抵抗があるはず。
そんな中、生配信の老舗・ドワンゴが新しいアプリを作った。
「カスタムキャスト」を使えば、誰でもキャラクターのモデルを使って配信ができる。
生配信者のこれまで
プライバシーの観点から考えれば、顔を出さなくてもよいカスタムキャストは大きな進歩である。
マスクをつける生主
日本の配信者の最も一般的な格好は、病気の予防などに使うマスクをつけた状態だった。
中には、馬などの覆面を被って配信する人もいる。
個人情報の開示が忌避される日本のネットにおいては、これが最大限の露出だ。
声のみの配信も
配信サイトの中には、音声だけで配信できるものもある。
声だけならプライバシーが割れづらい。
発言内容に気をつけていれば、大丈夫だった。
顔出しYouTuberの登場
プライバシー意識が強い日本において、顔出しの配信者が出てきたことは奇跡といえよう。
HIKAKINやかんあきなどは、テレビにも出演するほどの人気だ。
YouTuber専門の芸能事務所もできており、一大産業が出来上がっている。
TikTokで顔出し配信
動画配信アプリTikTokが、女子中高生をはじめとする若者の間で流行している。
短い動画を配信するシステムのおかげで、誰でも気軽に投稿できるということだ。
ただし、顔出し配信が多いことから、保護者は注意が必要である。
VTuberの量産
バーチャルユーチューバー(VTuber)がYouTubeを席巻している。
これは、美少女・美少年のキャラクターがYouTuber同様に配信をするものだ。
VTuberには、人間の動き通りに3DCGを動かす技術(モーションキャプチャ)が使われている。
専用の機材が必要で、CGモデルや声優なども自分で用意しなければならない。
最近はPC用のソフトなどもあるようだが、今はカスタムキャストが注目を集めている。
配信者はさまざまな方法で自分のプライバシーを守ってきた。
一方で、顔出しの配信者もいる。
カスタムキャストの登場
さて、ここからが本題だ。
ニコニコ動画を運営するドワンゴがスマホ用のアバター配信アプリを作った。
これにより、アバターの作成からニコキャスまでをシームレスに行えるようになった。
アバター配信がより身近になった。
アバター作成だけでもOK
配信機能はついているものの、配信する必要はない。
むしろ、ネット上では人気キャラのアバターが作れると話題になっている。
カスタムキャストでは、目の大きさや髪型などが設定でき、自分好みのアバターの作成が可能だ。
現状は女性型しか作れないが、瞳のデザインや髪のパーツなどの自由度が高い。
機材はスマホだけ
このアプリでは、モーションキャプチャをスマホの機能で代用する。
ポーズや姿勢を操作して、表情豊かに生配信できる。
そのため、高い機材は必要ない。
たしかに、ちゃんとした機材を使ったキズナアイの方がすごいかもしれない。
だが、一般の人がやる分には十分のクオリティだと思う。
カスタムキャストは動画配信サイトの運営会社がリリースした。
自由にアバターを作れる。
スマホの機能を使って配信ができる。
カスタムキャストの課題
ボイスチェンジャーがない
声を女声に変えるなどの機能はついていない。
したがって、男性が少女として配信することは難しい。
女性であっても、自分の声を出したくない人は多いはずだ。
そうした需要に応えられないのが今の課題といえる。
しゃべった個人情報は漏れる
顔出ししないとはいえ、しゃべった内容はネットに生配信される。
友達だけが配信を見ているとは限らないので、気をつけなければならない。
住所や学校・勤務先のことは話さないことが大切だ。
一方で、家の中を映さないという点においては、優れているといえよう。
カスタムキャストでは配信者の声が変えられない。
姿が変わっても、しゃべった個人情報は流出するので気をつけよう。
肉体を捨てて楽しく配信!
もちろん、アバターを使うことは、プライバシーのためにも重要である。
だが、人がバーチャルYouTuberに憧れるのは、肉体を超越できるからではないだろうか?
VTuberが美少女キャラのアバターで配信をすることは、バーチャル美少女受肉(バ美肉)と呼ばれている。
人間本来の肉体から解き放たれ、醜さやコンプレックスから自由になる。
それが人々がVTuberに憧れる理由のひとつだ。
「美少女キャラを搾取している」というのは、とんだ誤解である。
VTuberは、自分に自信を持てない人に活力を与える存在だ。
肉体からの解放を手伝ってくれる今回のアプリは素晴らしいと思う。