ユーザーはキャッシュレスを使ってくれるのか?
大手家電量販店が独自のバーコード決済を導入するのではないかと噂になっている。
もし事実であれば、キャッシュレスのブームにあやかりたいのかもしれない。
だが、家電量販店が独自のコード決済を導入するのは、あまり意味がない。
ユーザーがコード決済を使う理由:会計の簡略化と情報保護
そもそも、ユーザーがコード決済を使う理由は主に
- 会計を簡略化する
- クレジット情報を守る
ためである。
コード決済は個人店でも導入が(比較的)容易なことから、利用可能店舗の拡大が期待されている。
さまざまなコード決済
現在、PayPay・LINE Pay・楽天ペイなどの全国共通のバーコード決済がある。
その他、地方銀行がローカルなコード決済の、
コンビニと大手量販店を持つグループなどが自社用のバーコード決済の導入を検討している。
家電量販店のバーコード決済に意味はあるのか?
家電量販店では、利用客に旨味がない。
既存のバーコード決済を利用したほうがよい。
なぜかというと、家電量販店は
- 日常使いしない。
- 会計を早めに済ませるメリットが少ない。
日常使いしない — ボーナスポイントの恩恵が少ない
一般的には、家電量販店は日常的に通う店ではない。
したがって、コンビニやスーパーに比べて、恩恵を受ける回数が少ない。
反面、家電量販店は1回のポイント還元が大きい。
コード決済にボーナスポイントがつくことも予想できる。
しかし、すでに高還元のポイントカードアプリがあり、役割がかぶる可能性が高い。
ポイント還元があっても、利用したいと思うとは限らない。
会計の省略に旨味はない
家電量販店において、会計を省略するメリットはほとんどない。
コンビニやスーパーでは、後ろの人を待たせてしまう懸念からクレジットカードを使いたくない人も多いだろう。
だが、お釣りのやりとりや電子マネーのチャージもしたくない。
そういう人は、代わりにコード決済のアプリを使う。
これによって、小銭のやりとりもなくなる。
でも、家電量販店に急ぎの客はあまりいない。
レジも混雑しない。
最近ではレジで会計をすませる店も多くなっており、スキミングや盗み見の可能性は低くなっているはずだ。
独自のコード決済によって、客の買い物体験が大きく改善されることは考えづらい。
利用の機会を増やすには?
新生活で家電を買いそろえる人を狙う
とはいえ、新生活を始める人は、頻繁に家電を買い足すのではないか?
いや、一人暮らしを始める学生や新入社員はクレジットカードを持っていない可能性が高い。
コード決済を使うのは難しい*1。
家電以外の売り場で導入を
それを言うなら、ドラッグやおもちゃなどの比較的利用回数が多い売り場に目を向けるべきである。
そうした売り場では、コード決済のメリットが十分に受けられる。
(大手ドラッグストアは、すでに大手のコード決済を導入済み。)
むしろ、こちらで導入しないと、コード決済は「家電を安く買うための道具」に成り下がってしまう。
施設をあげてバーコード決済導入の可能性
ちなみに、大手コード決済では、ひとつの商業施設の全体で導入しているケースもある。
これには、チェーン全体としては導入していない店も含まれる。
つまり、A社全体としてはコード決済を導入していないが、Aレストラン◯◯モール店だけはコード決済ができるような状況だ。
そのような使い方であれば、客が利用するメリットも増えるのではないだろうか?
なお、導入はまだ噂にすぎず、家電量販店に入居する他店でもコード決済が使えるかは不明である。
また、大手コード決済の側が施設に売り込むことも不可能ではない。
コンビニのコード決済に比べ、利用シーンは限定的。既存のポイントカードアプリで事足りる。
急ぎの客が少なく、サインや暗証番号の入力を省略する意味が感じられない。
一方、メインではないドラッグ売り場・おもちゃ売り場などでは恩恵を得やすい。
家電量販店の施設全体でコード決済を導入することも可能である。
自社製が必要か検討を
バーコード決済が乱立している。
中には便利そうなものもあるが、最終的には一握りのサービスしか生き残らないだろう。
特に、販売店が開発し導入するケースでは、本当に需要があるか考えるべきだ。
一過性の話題にはなるかもしれないが、大手には確実に負ける。
*1:コード決済の中には、銀行口座やコンビニATMからの入金に対応しているものもある。