テレビっ子こそネット動画を見るべきではないのか?
とあるアニメがネット配信へ移行することについて、ネット上からは「テレビ放送が終わってしまうのは残念」という声が聞こえてきた。
こうした発言の前提には、動画配信への移行はテレビからの左遷だという考えがある。
実際のところ、我々テレビで育ってきたテレビ世代にとって、動画配信はアングラ(死語)な文化に思える。
もっと上のネットに馴染みのない世代は、配信を気にもかけていないだろう。
みんな心の奥底では、配信を見下している部分もあるのではないか?
そこで、テレビ世代の傲慢な考えを書き出してみた。
「規制を受けてテレビはつまらなくなった」
「昔のテレビは面白かった」という声をよく聞く。
厳しい「放送コード」によって、自由にテレビ番組を作れなくなった。
いじめや差別を放送しにくくなり、かつての「面白い」番組を放送できなくなっているというのだ。
これに加えて、最近は「ポリコレ(政治的正しさ)」という言葉も使われる。
世の中にさまざまな人がいることがわかってきた。
だから、少数派や弱い立場にある人たちがいることを積極的に表現しよう、というのがポリコレの考え方だ。
ポリコレは「お説教」
ポリコレは放送コードに比べ、メディアの自主性によるところが大きい。
ただし、放送コードには抵触しないが、ポリコレではない表現*1が批判されることもある。
テレビ世代には、そうしたポリコレを窮屈に感じている人がいるようだ。
今、女の子向けのアニメに男の子のメインキャラクターを登場させたとしよう。
その番組の中で、男の子も「ヒロイン」に変身したりする。
テレビ世代の一部はこれを見て、お説教を受けているように感じてしまうようなのだ。
「性の多様性を認めなさい」と。
それでもテレビ世代は、窮屈で不自由なテレビを見続ける。
実は……配信サイトはテレビより自由
しかし、現実には配信サイトの方がテレビよりも自由にやっている。
高尚な番組もあるが、低俗な番組も多い*2。
そんな中で、「動画配信を必要としている人たちはテレビを見たい」というミスマッチが生じている。
マイノリティの存在を描いたポリコレなテレビ番組が増えている。
テレビ世代の一部は、ポリコレや放送コードを嫌う。
彼らが求める自由な番組は、むしろネット配信に多い。
「何事もテレビで放送されるべき」
テレビ世代の一部には、テレビ(特に地上波)がネット配信よりも優位に立つという前提があるようだ。
そのため、野球のナイター中継が地上波で行われなくなったことを嘆く。
配信に移行する番組についても、「番組が終わった」と嘆く。
何事もテレビで放送するのが一番よいと思っている。
実際には、配信が優位に立っている番組のジャンルや視聴者層もある。
例えば、ゲームなどの情報番組は配信のほうが盛り上がる。
一方で、深夜アニメはテレビ世代のおじさん・おばさんにも見てほしいので、テレビでも放送する。
最近は配信サイトでの地上波先行・同時放送も増えており、ネット世代の若者もうまく取り込んでいる。
テレビにつないでネット配信を見る装置
やはり、ネットではなくテレビを見たいという人もいるかと思う。
だが、面白い番組はネットに移行していく。
そこでおすすめしたいのが、テレビにつなぐことでネット配信番組が見られる装置だ。
有名どころは、
- Amazon Fire TV Stick
- Apple TV
- Google Chromecast(クロームキャスト)
の3つ。
これらは無線通信などを通して、ネットにつながる仕組みである。
YouTubeやAbemaTVなどの無料動画、スポーツチャンネルDAZNなどの有料会員サイトも見られる。
(装置自体は買い切りだが、有料会員サイトは月額料金がかかる。)
ネット上では、設定を代行するサービスがあることが確認できた。
希望する方は、お住まいの地域でそうしたサービスがあるかを各自で調べてほしい。
テレビ世代の一部には、テレビが動画よりも偉いという思い込みがある。
スポーツ中継などはネットに移行している。
テレビでネット動画が見られる装置がある。
「客ではない」という意識を
テレビ世代がどれだけ配信を叩いても、彼らがテレビに戻ってくることはないだろう。
動画を見る層をターゲットにしたいと思ったのだから。
テレビ世代が怒ってよいのは、ニュースなどの最低限必要な番組がネットに移行したとき。
それ以外は「客ではなくなった」と考え、大声で文句を言わないようにしよう。
客であり続けたいなら、配信を見よう。
ネット世代から「うるさいおっさん・おばさん」だと思われないようにしたい。