気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

台風の被害に遭わなかった人が拍子抜けと言ってはいけない理由

間接的な影響・時間差で起こる災害も

2019年の台風19号では「ここ50年で最大」だとして、注意を促す情報がネットに拡散された。

 

その中には、3-7日分の食料を用意すべきだとか、窓ガラスに養生テープを貼るべきという内容もあった。

各地で保存食や養生テープが売り切れるなど、大きな反響があったようだ。

 

一方で、台風が去った後、「被害に遭わなかった」人から「大したことなかった」「拍子抜けだ」という声が漏れているのも事実である。

いや、この規模の災害が拍子抜けなはずはない。

 

 

 

 

 

お前被害に遭ってるやんけ

1日半も家から出られなかった災害のどこが拍子抜けだろうか?

 

直接の被害がなかった地域でも、お店が閉店し、イベントが中止された。

3連休だったはずの休日の活動が大きく制限された。

経済活動に影響が出ている。

 

  • 楽しみにしていたイベントが中止になった。
  • 買う予定だったものが買えなかった。
  • 旅行に行けなくなり、キャンセル料がかかった*1

     

    とかで、経済的・精神的損害を受けた人もいるはずだ。

    家から出られなくなった影響はとても大きい。

     

    火災保険料など値上げも

    これは長期的な話になるが、火災保険に影響が出るおそれがある。

     

    今回のような大規模な災害の被害を補償するためには、莫大な資金が必要だ。

    その補てんのため、近い将来に火災保険料が値上げするかもしれない。

     

    短期的には、生産拠点がやられた食料の値上げも考えられる。

    今回の災害は、家計に打撃を与えるものとみられる。

     

    台風本体は去ったが……終わらない災害

    下流地域の水害:時間差で来る場合も

    雨がやんだ地域でも、河川の氾濫や洪水のリスクがある。

     

    川の上流から流れた大量の水が下流にも来るためだ。

    下流でも豪雨が降ったという地域も多く、下流への影響は大きい。

     

    今回はダムの特別放流も行なわれている。

    ダムが水で一杯にならないよう、流入量分の水を下流へ流すという作業である。

    中長期的に地域の水を守るために、ダムが壊れないために必要だ。

     

    それに加えて、今回の台風は大潮の時期に直撃している。

    時間差の水害に気をつけてほしい。

     

    土砂災害:大量の雨でリスク増

    大量の雨が降った後は地盤が緩くなる。

     

    今回の台風19号では、神奈川県・箱根町で2日間に1000ミリを超える雨が降っている。

    大量の水を吸ってぬかるんだ山林はいつ崩れてもおかしくはない。

    少なくとも、当分の間は登山をするべきではない。

     

    塩害:植物や乗用車への影響 停電の恐れも

    台風が去った後の都市部の被害として、塩害を紹介しておきたい。

     

    台風は海を通るため、塩を含んでいる。

    塩が電子機器のスパークや植物への害を引き起こす。

    2018年の台風24号でも、塩害の影響を受けた人々がいる。

     

    電線や電気設備に塩が付着して、ショートするおそれもある。

    停電のリスクは去ったわけではない。

     

    ちなみに、塩のついた自動車を運転するのは危険だ。

    拭き取る・洗車するなどの対応を各自でとっていただきたい。

    (水に浸かったなら言語道断。)

     

    食べなかった備蓄は徐々に消費&入れ替え

    備蓄はどうなるんだというツッコミについて。

     

    停電しなかった地域の皆さんは、せっかく買った備蓄が無駄になったことだろう。

    でも、あなたは備蓄をする第一歩を踏み出した。

    これから台風やゲリラ豪雨があったとき、停電したとき、その備蓄は役立つはずだ。

     

    また、備蓄を食べるのも実は重要である。

    ネットには、

    「非常用にカロリーメイトを買ってきたら、意外とパサパサしていて、水が必要だった」

    「食べたら意味がないじゃないか」

     

    という内容のジョークがある。

     

    実は、この行動はとても理にかなっている。

    なぜなら、「備蓄用に買ってきた食べ物がまずかった」というのを防げる。

    普段から備蓄を食べ、口に合わなかったものは変えていったり、食べ慣れたりしよう。

     

    交通機関がマヒ・お店が開かない可能性

    2019年の台風15号では鉄道の復旧に時間がかかり、首都圏が混乱に陥った。

    午前8時運転再開の予定で計画運休を行なったものの、実際には昼までかかっている。

     

    今回の台風でも線路が流されたり、川の水が引かなかったりした。

    北陸新幹線に至っては、車両の多くが水に浸かり、サービスの存続に関わる打撃を受けた。

     

    それに加え、道路が被害を受けており、スーパーやコンビニの品物の仕入れに影響が出ている

    電気系統が被害を受けている可能性もあるので、お店がすぐ開くとは限らない。

     

    このためにも、3日分の備蓄は必要だったわけだ。

     

    経済的被害:閉店やイベント中止で影響を受けている。

    水害・塩害・土砂災害:時間差でくる場合もある。

    食べなかった備蓄:日常的に食べればよい。お店や物流の復旧に時間がかかる場合は備蓄を食べよう。

     

    油断はせず しかし冷静に

    今回の台風は史上まれに見る規模で、どのような被害が起こるか想像がつかない。

    常に最悪の事態を想定して、冷静に行動してほしい。

     

    一部では、ネットユーザーの感情を煽るような書き込みもされている。

    中には、「被災地域にあるマンションでトイレの利用が禁止された」などの未確定の情報も流れているようだ。

    そうした書き込みに惑わされず、冷静に情報収集をしてもらいたい。

     

    *1:止むを得ない事情であれば、交渉によってキャンセル料が0になる場合がある。

震災で行けなくなったホテルのキャンセル料(身近な消費者トラブルQ&A)_国民生活センター