気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

無料食堂:貧困層以外が利用 店主がSNSで苦言

こども食堂やフードバンクで栄養を

飲食店が善意ではじめた「無料食堂」。

このサービスを悪用する人が出始め、店主がSNS上で苦言を呈している。

明らかに食事に困っていない人が大量に注文する事例が相次いでいるというのだ。

 

書き込みに呼応して、慈善事業の関係者と思われる人からも、同様の経験談が語られた。

関係ない人が節度を超えてたくさん利用すれば、慈善事業が潰れてしまう

生活困窮者の生活を揺るがしかねない重大な問題となっている。

 

 

 

 

無料食堂とは

ひとり親家庭や貧困家庭など、十分に栄養を取れない人を対象に、無料で食事を提供する慈善事業。

関西のとんかつ店が始めた。

 

過去には、皿洗いを手伝うことを条件に、学生の食事代を無料にする飲食店もあった。

このとんかつ店では対価を求めておらず、さらに一歩進んだ内容となっている。

 

現在、食事を無料提供する事業を行っている飲食店は多い。

でも、ほとんどはいわゆるエッセンシャルワーカーを対象としたものだ。

そのような企業からは、よいブランドイメージを付与して、ビジネスチャンスにつなげたいという下心が感じられる。

 

大きな宣伝もせず、貧困層に無料で食事を提供している飲食店はこれとは違う。

 

貧困対策 広がる支援の輪

こども食堂:手作り料理で栄養を支援

NPOや地域の有志が運営し、子どもやその親に手作りの料理を提供する。

両親が共働きで食事を作る時間がなく、十分な栄養を採れない家庭も対象となる。

 

無料だとかえって入りづらいとして、お金を取る場合もある。

基本的には、市民の善意と寄付によって成り立つ事業である。

 

利用は貧困の人に限るべきという人もいる。

しかし、対象を厳密に決めすぎるのはよくない。


こども食堂に来ることが貧困である証になってはならない。

周囲の偏見にさらされ、本当に困っている人がアクセスしづらくなる。

 

フードバンク:食料品を貧困層に配布

賞味期限が間近に迫るなどで、売り物にならない食料品を無料で配布する慈善事業。

対象は貧困層など、栄養に困っている人である。


加工食品が前提で、かえって栄養が偏るという指摘もある。

ただ、最近は規格外の野菜なども寄付されているようだ。

 

これに類する事業をする団体もある。

筑波大学では、地域の農家などから募り、学生に無料で食材を提供していた。

 

フードバンク事業が受けられるかどうかは、自治体が審査している場合がある。

ただ、審査のない地域では、対象外らしき人の利用がみられるという。

 

こども食堂:(家庭環境や貧困で)栄養摂取が難しい子どもに手料理を。

フードバンク:貧困層に余った食料品や規格外の野菜を提供。

利用のハードルを下げたい一方で、対象外の利用を許してしまうというジレンマがある。

 

栄養支援の論点

とんかつはぜいたく?

以前、無料食堂が報道された際には、「とんかつはぜいたくではないか」との指摘が相次いだ。

そういう視点こそが富裕層の驕(おご)りである。

 

富裕層の子どもは望めばいつでもとんかつが食べられる。

貧困層の子どもはとんかつどころか、1日3回の食事を採れない場合もある。


生まれや親の収入によって、食べ物が食べられない。

そのような貧富の差の問題に切り込んだのが、このとんかつ店である。

 

審査というハードル 必要な人を救えない

審査をすれば、不正利用を排除できるのではないか?

いや、審査に踏み切れない事情がある。

 

自分から言い出せない人や、基準には満たないが実質的に貧困の人がいる。

  • 家庭内暴力(DV)を受け、配偶者から逃げている人*1
  • 派遣切りなどで、仕事を失った人

など。

 

そうした人に救いの手を出すには、審査制は厳しいのだ。

今回のような悪用は、彼らの命を奪っているのと同じである。

 

雨漏りを直す気があるのか?

本来、栄養支援は政府が主導すべき事業である。

日本政府はこども食堂を支援すると言っているが、これは栄養支援とはズレている。

 

例えば、雨漏りを防ぐために必要なのは、屋根の補強工事だ。

こども食堂やフードバンクは、雨水を受けるバケツの役割をしている。

雨漏りしている家庭にバケツを配るというのは、根本的な解決になっていない。

 

たしかに、栄養支援は重要な慈善事業である。

だが、政府には国民がこぼれ落ちない制度づくりが求められている。

 

とんかつはぜいたくとの批判もあるが、質素な食事すらとれない子どもがいるのが現状だ。

審査制にすると、弱い立場の人やグレーゾーンの人がこぼれ落ちる。

行政が慈善事業を支援するのは、根本的な対策になっていない。

 

悪質な利用 法の裁きを

「困っている人」を対象にした無料・格安サービス。

本当は困っていないのにこれを利用するのは、商品をだまし取っているのと同じである。

 

とはいえ、困っている人を見分けるのは難しい。

明らかに困っていない人を弾くための仕組みが求められる。

あるいは困っている人の基準があいまいでも、詐欺罪の立件や、代金の請求ができるようにすべきである。

*1:LGBTと同じく、秘匿すべきプライバシーである。2021年には、国会議員がDV被害者の暮らす施設の住所を口外して、大問題になった。