気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

USB充電器が危険? ネットユーザーが大混乱

消費者が理解できない 難しい情報との付き合い方

一般のネットユーザーが海外メーカーの電気製品について、規格違反だと指摘した。

この件が大きな騒動になっている。

まずはこの騒動をまとめる。

 

 

 

 

USB充電器が規格違反?

結論から言うと、今回の製品が一般の消費者に影響を与える可能性は低い

 

今回問題になった製品は、いわゆるUSB充電器である。

この機器にはスマホのUSBケーブルを挿すことができ、これをコンセントに差し込むと充電できる。

 

当該USB充電器に対して、件のユーザーは特殊な機器を使った。

その結果、設計上想定されていない強い電流が発生した。

ユーザーはそれが危険だと判断し、そのユーザーのブログに書き込んだのだ。

 

一般消費者には理解できない

電子機器の規格というのは、一般の消費者にとって難しい問題であろう。

専門知識がないため、自分のUSB充電器がただちに危険な状況を生み出すものと誤解しかねない。

(繰り返しになるが、今回の実験は特殊な機器を使ったものである。)

 

実際、ネット上には、難しい用語を使った賛否の意見が並んだ。

技術や法律に関するかなり専門的な内容の書き込みも見られる。

一般消費者はそれを理解できず、製品の安全性を評価できない。

 

メーカーはそのブログの投稿について声明を発表し、一般消費者に理解を求めた。

なお、今後の出荷分は同様の現象が起きないよう、改良される。

すでに購入した人も、返金を受け付けているので、安心してほしい。

 

悪意のある情報にだまされる危険性

難しい言葉で怖そうなことが書いてあると、消費者は信じてしまう。

例:

  • 「さきほどの地震は人工的に起こされたものだ。○○値が上昇しており〜」
  • 「××食品には△△ニウムという物質が含まれている。△△ニウムは□□病を引き起こす」

 

これはおそろしい問題である。

災害や病気のように命に関わる情報であれば、大きな混乱が起こるだろう。

 

もちろん、消費者は、少なくとも小学校レベルの一般常識を持ち合わせているのが望ましい。

でも、「大学レベルを超える知識を詰め込まなければならない」

そのような社会は、ほぼ成立し得ない。

 

悪意ある情報に立ち向かうために、別のアプローチを用意することが求められている。

 

一次的対応:鵜呑みにしつつも冷静に

そこで提案したいのが、情報を鵜呑みにしつつも、広めないという対応だ。

 

「○○という商品は危険だ」という投稿があったら、一時的に使用をやめてもよい。

(健康に関わる商品の使用をやめたい場合は、必ず医師に相談すること。)

 

でも、その情報を広めるべきではない。

「○○は危険だそうです。あなたもやめるべきです」


そのウソの情報によって、製造者が損害を受けたらどうなるか?

あなたに賠償責任が生じる場合もある。

真偽がわかるまで、安易に投稿しないことが大事だ。

 

ウラはマスコミが取る

なぜマスコミは情報を迅速に流せないのか?

情報のウラを取る必要があるためだ。

逆に言えば、マスコミの流した情報は、ある程度信用できる。

 

SNSで流れる情報の多くは、実際に見聞きしたか、又聞きしたものだ。

だが、それは必ずしも信用できるわけではなかろう。


その人は見聞きした物事を理解していないかもしれない。

話をしてくれた友人がウソをついている場合もある。

 

一方のマスコミは、関係各所や専門家に真偽の程を尋ねる(ウラを取る)。

自社がウラを取るまでは、他社がスクープしていても情報を流さない。


「SNSでは真実が伝えられているのに、テレビでは報じられていない」

そのときの「真実」は、ウソかもしれない。

 

分かりやすい解説が出るまで待つ

「一般人は黙ってみていろということか?」

 

いや、そうではない。

全体像が見えてきたら、マスコミや事情の分かる人が解説をする。

そこで初めて、一般人が情報のあらましを理解する。

 

最近では、専門家がニュース番組に出演し、パネル解説を交えて直接伝えることが多い。

キャスターが一般人にわかりやすい喩えをして、専門家がより正確な内容に軌道修正する。

専門家とマスコミは、分かりやすさと正しさを両立できるよう、努力している。

 

悪意のある情報を流す人々

悪意のある専門家

ただし、すべての専門家が正しいわけではない。

 

残念ながら、専門家の中にも悪意を持った人がいる。

儲け話に目がくらみ、科学的に間違っている(可能性が高い)論理を主張するようになった人たちだ。

一部のテレビやネットのニュースは、悪い専門家に聞いた上で、間違った内容をまとめている。

 

子育てから健康食品まで、さまざまなジャンルに悪質な専門家が存在する。

ニュースになっているからといって、ただちに信じないことが大事である。

ほかのメディアのニュースも見て、内容を比べてほしい。

 

悪意のある知ったかぶり

悪意のある知ったかぶりはもっと厄介だ。

彼らはひな鳥のように、情報を刷り込まれている。

例えば、太陽光発電については、さまざまな間違った発言が見られる。

 

「太陽光パネルに着火すると、燃え尽きるまで消火できない」

「ソーラーパネルを作るときに使う電力はパネルの発電量より大きい」

「ゴミが少なく、環境に優しい」

 

政治家や有名なインフルエンサーが自信満々に、間違った情報を流す場合もある。

それを見たたくさんの消費者は、勉強した・賢くなった気になってしまうのだろう。

根拠や真偽を確認しないまま、情報を「事実」として広めていく。

 

その情報の多くが、ファクトチェックや専門家の指摘で否定されている。

(高度に訓練された専門家は、間違った情報を一発で見抜く。)


それでも、知ったかぶった彼らは、ファクトチェックが間違っているなどと言って譲らない。

賢いネット利用者は、根拠もなしに専門家の見解を否定してはいけない。

 

「庶民感覚」と知ったかぶりは違う

庶民感覚の意見も大切だが、素人の考えをゴリ押しするような発言は避けたい。

 

いわゆるワイドショーには、庶民の代表として、専門家ではない芸能人が出演している。

SNS上でも、インフルエンサーやフォロワーの多い利用者が意見を言う場面がある。

彼らの本来の役割は、番組に庶民感覚を取り入れることである。


「○○はできないのかなと思ってしまうんですが」

「残念ながら○○はできません」

のように、庶民の疑問を解決するのに役立つ。

 

一方で、「技術的には○○が可能だ。やるべきだ」と知ったかぶる素人もいる。

専門家がダメと言ったら、受け入れよう。

あなたの付け焼き刃の知識が専門家に勝るとは考えられない。

 

もし専門家に反論するなら、せめて別の専門家の見解を引用してほしい。