気持ちのサンドバッグ

気になったことを調べて、まとめたり意見を書いたりします。あくまで個人によるエッセイなので、事実関係の確認はご自身でお願いします。

【Twitter】ツイートに背景情報を追加する新機能

ユーザーの力で偽情報の拡散を防ぐ

Twitterにおいて、他のユーザーのツイートに「背景情報」を追加できる機能がテストされている。

これは返信や引用リツイートとは異なる。

デマや説明不足のツイートによって、他のユーザーがだまされるのを防げる機能だ。

(2023年5月現在、一定の条件を満たしたユーザーのみが背景情報を追加できるようだ。)

 

これまでは不正確なツイートに対して、自衛しかできなかった。

  • デマによく使われる表現を警戒する
  • 怪しいアカウントをミュート・ブロックしておく
  • ツイートに書かれている内容を検索して調べる

といった方法では、デマの拡散を防ぐには限界があった。

 

でも、これからは知識のある他のユーザーが守ってくれる。

背景情報のついたツイートには、

「閲覧したユーザーが他のユーザーにとって役立つと思う背景情報を追加しました」

と表示される。

たとえ背景情報の内容が難しくても、不正確な情報であることはわかるだろう。

 

以下、実例を交えながら、どのような機能か説明していく。

 

 

 

背景情報とは? 事例を紹介

デマやフェイクニュースの訂正

ウソの投稿の直後に事実を表示できる。

リプライ (返信) や引用リツイートに比べて目立ちやすい。

 

例えば、歴史問題について、日本の正当性を主張するアカウントがあった。

反論として、そのユーザーの主張を否定する歴史的事実が投稿された。

 

外国のリーダーに関するツイートのスクリーンショット (切り抜き画像) があった。

その画像のツイートは、実在しない偽物だった。

でっちあげを証明するために、魚拓サイトへのリンクが貼られた。

 

健康に関する古い情報を提示するツイートがあった。

ある研究を引用した、論文と思われる画像が添付されていた。

背景情報として、その古い情報が誤りである点と、最新の情報が提示された。

 

不十分な情報に追記

不正確なツイートに対して、足りない情報を追記できる。

 

ニュースの速報で、マイナンバーカードのシステムが停止するという情報が流れた。

実際には同カードを用いて、コンビニで住民票などを交付するシステムが停止する。

速報のツイートは消されていないが、背景情報で正確な内容がわかる。

 

2024年、NTTのすべての固定電話が新たな仕組みに移行する。

手続きや工事は必要なく、そのまま使い続けられる。


これについて、固定電話サービスが終了するかのような見出しの記事が投稿された。

背景情報では間違いを指摘し、NTTの資料を添付している。

 

いずれも不正確なので、背景情報で訂正された。

背景情報を知らなければ、誤解のおそれがある。

 

ユーザーによるファインプレー

正しいかどうかは別として、背景情報をつけたほうが適切なツイートがある。

 

「苦境に立たされる企業が、要職を女性に押し付けている」

ある知識人はそう非難した。

そのツイートが1人の意見に過ぎない点と、その女性の実績が背景情報として追記された。

 

事件の容疑者に関して、偏見にまみれたニュース記事が投稿された。

背景情報として、記事に抗議する知識人のツイートが紹介された。

 

動物の写真を転載するアカウントが、不思議な生き物の画像を投稿した。

その画像が実は生成AIで作られていることと、作成者のIDを補足した。

別の転載アカウントでは、地図アプリの街頭写真 (「ストリートビュー」) だと偽った投稿に、背景情報が追記されていた。

 

背景情報へのフィードバック

背景情報には、投稿者以外のユーザーがフィードバック (評価) を残せる。

これにより、ウソの背景情報を防ぐ仕組みになっている。

 

「このノートは役に立ちましたか?」の質問があり、選択肢として「はい」「少し」「いいえ」が用意されている。

回答に応じて、役に立った点・立たなかった点を選択できる。

なお、フィードバックを送るページには、現在どのような評価が優勢かが表示される。

 

なくならない偽情報 防止できるか

Twitterやソーシャルメディア上のデマの拡散は深刻だ。

偽情報を信じ込む人が後を絶たない。

そうした情報は撲滅しなければならない。

 

悪質ユーザーでもフォロワー10万単位

「リツイートや閲覧数の多いツイートは正しい」

そんな甘い考えは捨て去るべきだ。

背景情報が掲載されたツイートには、数千リツイートだったものも多い。

 

ソーシャルメディア上には、不正確で過激な投稿が問題になっているユーザーもいる。

そのフォロワーは数十万人にも及ぶ。

正しいかどうかを数で判断するのは間違っている。

 

もちろん、すべてのデマを見抜くのは難しい。

定期的に自分のタイムラインを見直し、デマだとわかったリツイートを消していくのが重要だ。

 

ファクトチェックへの反発強まる 質の低い記事も

従来、デマの訂正はファクトチェックをするメディアが担ってきた。

しかし、いまファクトチェックに反発する声が強まっている。

第1に、政治的な立場が中立ではないという批判がある。

 

たしかに、ファクトチェックをするメディアには、左派系と言われるものも多く存在する。

あるファクトチェック団体について、左派系メディアの出身者が多いとの指摘もあった。

だが、そうしたメディアや団体でも、右派に有利な内容が検証されている (政府を批判するデマなど) 。

 

ちなみに、過去には右派政党が自称「ファクトチェック」を始めた事例もある。

これに対しては、明らかに中立の立場ではないので批判が集まった。

(他のさまざまな思想の政党が行なっているものも、同様に中立ではない。)

 

第2に、ファクトチェックと称しながら、内容が正確・中立でないものがある。

ファクトチェック団体に所属しない一般のメディアが、自称「ファクトチェック」をする場合に多いようだ。


関係者に取材した内容をそのまま書いた記事には、非難が殺到した。

その記事は問題となった神事について、主催者に有利な事実ばかりをまとめたものだった。

こうした記事は、結果的にファクトチェックの価値を貶め、デマがはびこる要因となる

 

その一方で、大手ファクトチェック団体の記事は正確であることが多いので、信頼してほしい。

心配な場合は、複数のファクトチェック団体を参照するべきだ。

ファクトチェックをデマと言い張る一般人を信じるべきではない。

 

早く広く訂正できるかがカギ

早く広く背景情報を追加しなければ、悪質な偽情報の拡散は防げない。

 

偽情報の拡散は早いが、訂正情報は広まりづらい。

背景情報が追加される前にツイートを見た人は、デマを信じてしまうおそれがある。

(訂正前の情報を信じ込んでしまっている人も多い。)


それに、背景情報が追加されていない別のツイートが広まってしまえば、意味がない。

できるだけ多くのツイートに背景情報が追加されるのが望ましい。

 

現在は、ユーザーを背景情報の書かれたツイートに誘導する人がいる。

でも、数千〜数万のユーザーが同じ内容のツイートをしたら対応しきれない。

情報の追加や誘導が簡単になる仕組みの導入が待たれる。

 

偽情報対策 過熱に注意

偽情報を流している人への最も有効な対策は、ミュート (非表示) やブロックである。

訂正や反論も大事だが、情報の正しさを巡って言い争いになるのはよくない。

相手を嘘つき呼ばわりするのは、法廷闘争になる場合もあり、おすすめしない。

 

もちろん、追加された背景情報が正しくない場合も考えられる。

(実際に、背景情報に反論があったケースも。)

あなた自身が正しい情報を調べることは、依然として重要である。

誰が正しいかとか、個々人の善悪という小さな話ではなく、何が正しい情報かを考えてほしい。