声優の結婚は祝福される
最近、天下の文春砲が声優に関するゴシップ記事で失敗しているということが話題になっている。
記事の内容がネットユーザーのおもちゃにされたり、熱愛がむしろ祝福されたりして、スキャンダルとしての意味をなしていないのだ。
おそらく、記者たちは声優ファンの界隈における声優の立ち位置をよく理解していないのだろう。
記者にはすっぱ抜く対象の役割を認識し、役割にあったゴシップを書くことが求められている。
今回は文春砲の敗因分析も兼ねて、声優を分類しながらゴシップの書き方について考えていきたい。
前提
声優は知名度が低い
声優は全体的に知名度が低いので、基本的に雑誌の売り上げに貢献するようなゴシップにはならない。
人気キャラクターを演じていたとしても、多くの読者は声優までは知らない。
鉛筆の生みの親が亡くなっても誰もショックを受けないのと同じで、その程度のスキャンダルでは誰も心を動かされない。
声優は職人である
声優は専門の知識と技能を持つ職人である。
声を演じる俳優と考えることもできるが、専門の学校を卒業していて、俳優に比べて専門性が高い。
その人たちが、技能に加えて容姿やキャラ付けを求められているのが、現在の声優業界である。
だから、声優は本質的には職人であり、必ずしも他の芸能人と同等ではない。
一般の人における知名度は低い。
声優は芸能人というよりも職人だ。
ビジネス軸
声優の売り方で考えると、声優のスキャンダル記事を売る大変さがわかる。
その人が歌手活動をしているか、舞台出身かなどでその人の芸能人度を分析し、対象にあった記事を書く必要がある。
ここでは主な売り方を挙げていく。
アイドル型
アイドル売りを前提とした売り方。
現在は、ユニットを結成することが多いが、ソロの場合もある。
アイドルアニメ・アイドルゲームも増えてきており、キャラクターを演じる上で歌唱することも多くなった。
その一方で、ネット配信番組に出演して笑いを取るなど、バラエティ方面でも活躍している。
声優界のアイドル売りの定義が広いこともあり、全てのアイドル声優が熱愛のゴシップによって打撃を受けるというわけではない。
舞台型
舞台声優は、舞台俳優と声優を兼業している。
アイドル声優やガチ声優ほど、声優やアイドルとしての仕事量は多くない。
だから、俳優として見たときに、その報道がどういう効果を持つかということを意識したい。
舞台俳優のAさんの熱愛報道でショックを受ける人が何人いるだろうか?
ガチ声優型
吹き替え専門であったり、基本的に歌唱しなかったりと、専ら声の仕事しか受けない人もいる。
最近ではこのような人でも声優を取り上げたバラエティ番組に出ることがあるが、美人としてスタジオに花を添えるようなことはしない。
熱愛報道の効果は低いが、事故やトラブルなどの報道はイメージを損ねるだろう。
ただし、知名度が低いと意味はない。
アイドル声優はゴシップ記事に向かない場合もある。
舞台声優は舞台俳優としての役割が強い。
ほとんど声優一筋の声優は、事故やトラブルの方がイメージを損ねる。
キャラ軸
声優には様々なキャラがいる。
前述の通り、アイドル声優だけでも色々なキャラ付けの仕方があり、アイドル声優はみんな清純というわけではない。
イメージを毀損するためには、声優それぞれのイメージを正しく捉える必要がある。
キャラ愛型
キャラクターや作品に対する愛情が強い声優。
彼らは、配信番組やソーシャルメディアでキャラや作品について熱く語ってくれる。
そのため、声優自身のファンだけでなく、作品のファンからも評価が高い。
信頼が構築されているので、よほどのことがない限りファンは揺らがないだろう。
お笑い型
ネット配信番組などに出演して笑いをとる声優。
お笑いのパラメーターが高い声優は、不倫などのスキャンダルを報じられても、笑って許される可能性が高い。
男性声優には見た目は二枚目でも、三枚目のキャラで通している人が多いので、誤解してはならない。
行き遅れ型
女性で30代後半以上の声優は、結婚できないことをネタにしている人も多い。
そのため、このカテゴリーに含まれる声優の熱愛報道はかえって喜ばれる。
ただし、30代後半以上の男性声優の場合は、表の芸名でBL作品に出ている人も多いことから、異性との交際報道を聞いたネット民は謎の混乱を見せる(交際自体は祝福される)。
美人型
清純なイメージで、笑いのパラメーターが低い声優。
スキャンダルを狙うならこのカテゴリーに属する人が妥当だ。
ただし、ガチ声優や舞台声優の場合は、一般人と同様に結婚していても不思議ではない。
ファンやネットユーザーが「騙された」「裏切られた」と思うラインを探ることが重要である。
声優は清純派だけではない。
お笑いキャラや行き遅れキャラには、恋愛スキャンダルは効かないだろう。
威力のある文春砲を撃つために
このように、週刊誌の記者には、声優のあり方を理解し、効果的な記事を書くことが求められている。
そもそも、マスコミの役割は受け手の意識下にある常識を崩し、事実を伝えることにある。
受け手の意識の外にある声優の話をしても無意味だし、伝えたいことを受け手が常識として認識していれば、その記事は常識の補強の意味しか持たない。
声優のゴシップをすっぱ抜きたいのであれば、受け手が何を聞いてショックを受けるかについて熟考しなければならない。