満足いく交通手段?
現在、家庭の事情で石川県金沢市に来ている。
プライベートすぎるので、詳しい事情については触れないでおきたい。
さて、今回の移動には北陸新幹線を使った。
各種報道からあまり繁盛していないのではないかという疑惑もあるが、少なくとも私の中では移動手段として快適だった。
各種設備について
北陸新幹線の車両は車号に関わらず、E7系という共通の車両になっている。
そのうち、私が利用したのは「かがやき」だ。
JRの関連サイトに設備の詳細が載っているので、参照されたい。
ここでは、私が見たものや乗ってみて感じたことを書いていく。
普通車であっても、座席間の幅が広い。
乗る前は、大荷物だったので邪魔にならないか心配だったが、スーツケースは足元に置いておけた。
出張程度の小さなスーツケースに関しては、頭上の棚に置いている人が多かった。
(スーツケースを置いておけたということは、)脚を伸ばすまではいかないが、座席間の幅はかなり余裕があった。
シートに関しては、ヘッドレスト(枕)が可動式なので、座高が高い人・低い人も快適に座ることができる。とてもありがたい。
興味がない人も多いかもしれないが、前方のポケットには雑誌と車内販売のメニューが入っている。
雑誌は空の便と同様、持ち帰り自由だった。
その他、カバンやコート用のフック、ドリンク用のポケットなどの標準的な装備も付いている。
コンセント
同じく、シートには1人に1つ、コンセント(AC100V/60Hz/2A)がついている*1。
これは最低限の簡素なものであり、停電などで供給が止まることが注意書きされている。
そのため、給電がなくなると電源が落ちる・故障するものには向かない。
しかし、パソコン・スマホには十分使用できる。
前方の机を使ってパソコン仕事をしているビジネスマンもいるようだ。
私もスマホの充電に利用した。
供給が安定しているわけではないので、誤作動を起こすこともあるかもしれない。注意したい。
注意点
予約について
実は、かがやきは全席指定席である。
私は新幹線の予約が初めてで、しかも駅の端末で予約したので、間違えたと思った。
予約端末に自由席が見当たらないかもしれないが、そういうことだ。
2時間半程度(高速の半分以下の時間)で東京から金沢まで行くことができて、座席も快適だったので、値段については言うことなし(少なくともぼったくりではない)だと思う。
圏外区間
トンネルが多いのは高速と変わらない。
圏外区間が圧倒的に多いので、SNSやオンラインのスマホゲームは使いづらい。
よほど読書が好きだったり、ネットから離れるのが気にならない人でなければ、乗車時間の短いかがやきを使ったほうがよい。
また、仕事関係の電話が取れるのは甲信越に入る前までなので、電話が必要な人も注意されたい。
総務省がトンネル内に電波を通す工事に補助金を出したようなので、いずれ対策されるだろう。
だが、当分の間は圏外が続きそうだ。(Wi-FI回線はない。)
総務省|信越総合通信局|北陸新幹線での携帯電話の利用に向けて 〜電波遮へい対策事業費補助金の交付を決定〜
英語表示の不足
JRの慢性的な問題だが、電光掲示・ディスプレイの英語表示を省略しすぎている。
運転見合わせに関する情報は日本語では詳しく書いているのに、英訳ではサービスを休止している旨しか書かれていなかった。
座席前の表示に関しては不足はなかったと思うが、もし外国人の方と利用する際は通訳するなどしていただければよいと思う。
魅力
景色
トンネルが多いという話をしたが、逆に言えば、山も見られる。
今は梅雨なので雲がかかってしまっているが、夏あたりに行けば絶景だと思う。
ただし、トンネルの方が圧倒的に多いので、景色を見るための観光列車にはなれないだろう。
速さと手軽さ
速さと手軽さが新幹線の一番のポイントだ。
飛行機と違って諸手続きがないので、一度列車に乗ってしまえば、座っているだけでよい。
高速と違い、2時間半で着くので長時間運転したり、暇を持て余すこともないだろう。
赤ちゃん連れもいたが、そこまで気にならなかった。
(気になる人は音楽でも聴いていればよい。)
ネットが使えないもどかしさもあるが、飛行機(羽田または成田-小松)が1時間ぶっ通しでネットが使えないのに対して、新幹線は途切れ途切れではあるがネットが使える。
また、陸を行く新幹線は、高いところがダメという人にとっての次善の策とも言えるだろう。
ちなみに、私は外の文字を追おうとして微妙に気持ち悪くなったので、外の文字はあまり追わないことをお勧めする。
自由さ
飛行機と違って、新幹線は拘束されている感がない。
ゲームをしたり、談笑したりする程度なら迷惑にならないし、シートベルトもない。
座席間の幅が広いので、トイレのために座席を立つのをはばかられるということはないだろう。
また、6人で前後の席を利用する場合は回転させることもできる。
新幹線は飛行機のように使用機器の制限もないし、高速のような渋滞もないので、長旅を楽しむのにはちょうど良い交通機関だ。
(もちろん、運転見合わせや遅延はあるわけで、飛行機ほどデリケートではないにしろ、気象の影響は受ける。
どのような旅行においても、代替の交通手段を想定することは重要だ。
というか、実際、筆者は乗車当日の朝に長野県で震度5の地震があったので、新幹線が止まらないかヒヤヒヤした。)
移動に対するニーズの変化
ここまで、北陸新幹線が移動手段として満足できるものだったという話をしてきた。
しかし、最近では交通手段に対するニーズも変わってきている。
これまでは黙殺されてきたトンネル内の電波遮へい問題も対策をされ始め、学生に人気だった格安高速バスも、軽井沢のバス事故を受けてリスクの高いものとして認識されている。
今は値段よりも、安全に、快適に、そして願わくば時間通りに旅客を輸送することが求められているのだ。
そういう意味では、北陸新幹線は東京と金沢をつなぐ陸路の輸送手段としては十分評価できると思う。
ただ、そこに仕事の電話をいつでも受けられるかとか、TwitterやLINEが快適にできるかという移動に付随する価値尺度が加わると、万全とは言えなくなる。
そこについては、上に示したように他の交通手段も同じだと思うので、自分にあった手段を選んでほしい。
*1:窓際の席は窓側の足元、それ以外は前方座席の右足もとについている。