倫理と対策 企業に問われる
あるタスク管理アプリの情報がネット上に流出しているとして、騒動になっている。
これには、企業の情報も含まれる。
顧客や採用試験の受験者の個人情報、本来機密であるべき情報まで流出する騒ぎになっている。
結論から言うと、悪いのはアプリを使っている利用者だ。
アプリ運営会社が無責任との声もあるが、むしろ再三にわたり注意喚起をしていた。
今回の問題についてまとめる。
タスク管理アプリとは
業務や日常生活の懸案を補助するアプリのこと。
何月何日何時までに◯◯をやるというチェックリスト形式が有名だ。
iPhoneでは、購入時から「リマインダー」アプリが入っている。
Androidでは、Googleカレンダーにリマインダー機能がある。
そのほか、アプリストアからサードパーティー(第三者)製のタスク管理アプリを入手できる。
中には、機能が高度化したアプリもある。
- 職場やサークルの仲間と情報を共有できる。
- 業務管理に特化し、効率性などを分析してくれる。
利便性が増し、用途が広がる中で、今回のような流出事件が起こってしまったようだ。
公開設定を把握していたか?
今回の問題の原因は、担当者が公開設定に気づいていなかったことに尽きる。
多くのアプリやウェブサービスでは、設定画面に「プライバシー設定」「公開設定」などがある。
これをオン(公開)にしていると、全世界に情報が公開される。
世界中のみんなと情報を共有する前提のアプリもある。
そうしたアプリの一部では、ユーザー登録時点で情報が公開されている。
いま一度、設定を確認してほしい。
ちなみに、今回のケースでは大手検索サイトで検索できるようになっていた。
見つからなければ大丈夫という問題ではなさそうだ。
(このアプリの公開設定は、全世界に向けてオープンで仕事をしたい人向けだった。)
商談の内容まで流出
特に問題視されているのが、情報の内容と質である。
よくサイバー攻撃などで流出するのは、個人情報が羅列されたファイルである。
普段、誤って見られる状態になっているものも、情報の一部である可能性が高い。
ところが、今回はタスク管理アプリに載せた全情報が流出している。
- 顧客との商談の内容
- 企業の受験者への辛辣な評価と個人情報
- 個人の財産や職業などで、差別のおそれがある情報
情報を流出させてしまった企業の信用失墜は避けられない。
このような流出は前例がなく、大変なことになりそうだ。
不適切な内容 書くべき情報だったか?
今回流出した情報には、不適切な内容も含まれていた。
倫理的に不適切な内容。
顔採用をうかがわせる記述や、「頭が悪い」のような侮辱的な表現もあったようだ。
扱いに細心の注意を払うべき個人情報・機密情報。
それを載せるのは、アプリ運営会社に情報を無断譲渡しているのに等しい。
運転免許証の写真が上がっていたという報道もある。
従業員の倫理・リテラシー教育は十分だったのだろうか?
当該アプリを使わせないという対策では、同じような失敗を繰り返しかねない。
企業側の流出対策・対処法
企業は情報流出を防止するために、最善を尽くす必要がある。
それと同時に、情報が流出した場合の対処も考えなければならない。
現在は情報流出に対応できるサイバーセキュリティ会社や、保険がある。
そうした知識や実績のある法律事務所・弁護士も存在する。
(もっとも、今回流出した中には、法曹関連の情報もあったようだ。)
ところで、レディー・ガガの愛犬が誘拐された事件は衝撃的だった。
セキュリティがしっかりしていそうな世界的セレブでも、犯罪の被害に遭う。
インターネットに限らず、世の中に完璧・堅牢はないことを自覚すべきだ。
非公開だけでは不十分
なお、流出した情報を非公開にしても、すでに各所に出回っている可能性が高い。
検索サイトで非表示になるまでにも、時間がかかる。
「非公開にしたから安全」は絶対にありえない。
それから、流出当事者がタスク管理アプリにURLを貼った、別のサービスについても注意が必要だ。
例えば、Googleスプレッドシートでは、URLを知っている人が誰でもファイルを見られるように設定できる。
この設定にしていると、タスク管理アプリだけを非公開にしても、誰でも見られる。
いずれにしても、流出させた団体は弁護士に相談するなどして、対処する必要がある。
非公開だからと安心せず、過ちに向き合ってほしい。
被害者および流出させた団体の方へ
被害に遭われた方の中には、情報がいまだに削除されない人もいるかもしれない。
流出させた団体においても、今すぐ非表示にすべき情報があるだろう。
検索に表示させない方法については、以下のサイトを確認いただきたい。
Google から情報を削除する | Google 検索セントラル | Google Developers
流出したパスワードや暗証番号は、今すぐ変える必要がある。
携帯電話の番号は、有償で変更できるキャリアがあるようだ。
いろいろ大変かもしれないが、頑張ってほしい。