一部ユーザーのモラル欠如 シンデレラガールズ総選挙を台無しに
人気ゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」にて、3つの投票企画が同時進行している。
- シンデレラガールズ総選挙:キャラクター全体のトップを決める。
- ボイスアイドルオーディション:声がついていない(声なし)キャラに新しく声優をつける。
- ドリームユニット決定戦:複数のキャラの組み合わせについて、人気No.1を決める。
投票券はゲームで獲得できるほか、有償パックでも手に入る。
全体の数は不明だが、1人につき最大で30000票分の有償投票券が購入できる(アプリ「スターライトステージ」の場合)。
これらの投票企画において、SNS上でトラブルが起こっている。
そのトラブルの概要をまとめる。
票交換とそれを利用した騙し
去年も2つの投票企画が同時進行していた。
その中で、「票交換」という文化が生まれた。
これを悪用した騙し行為(「票交換詐欺」)の被害がSNS上で報告されている。
ユーザーの中には、声なしキャラに興味のある人・ない人がいる。
それを好きなキャラの得票につなげようと、次の取引が行われる。
いわゆる票交換である。
興味あり「総選挙でAに投票するので、あなたはボイスでBに投票してほしい」
興味なし「ボイスでBに投票するので、あなたは総選挙でAに投票してほしい」
ところが、今回、取引された内容を履行しないユーザーが現れはじめている。
投票した証拠としてアップされたスクリーンショットに、偽装とみられる加工の跡がある*1。
(SNS上の報告なので、被害にあった話が捏造の可能性も否定できない。予めご了承願いたい。)
今後、総選挙やボイスに投票しない人が増え、大量の死票が発生するかもしれない。
騙しの加害者がファンを名乗っている、そのキャラの評判も悪くなる。
ファンコミュニティに悪影響を与える悪質な行為といえよう。
民間の人気投票 公職選挙法は適用されず
票交換は公職選挙法に違反するのではないかという声がある。
いや、公職選挙法は、議員や首長を選ぶ選挙にのみ適用される。
ユーザーは国内の法令に違反しない限り、自由に運動ができる*2。
ただし、投票企画の実施団体は、独自にルールを設定できる。
今回の投票企画には、厳しいルールは設定されていない。
総選挙への投票にあたり、コンテンツ外で、総選挙の順位に影響を及ぼすような金銭の授受を伴う過度な応援活動はお控えいただきますようお願いいたします。
(ゲーム内ヘルプを参照のこと)
とだけある。
過去にはお金を払って、有名人に投票を呼びかけてもらうなどの「過度な応援活動」があった。
それをけん制する注意書きである。
一方で、金銭の授受を伴わない票交換は許されているとも解釈できる。
とはいえ、今回の騒動が公式の知るところとなれば、次回以降に票交換が禁止されるかもしれない。
信用できる相手と票交換 あるいは良心を信じる
「騙された人はおろかだった」とは言わない。
でも、次に騙されないための方法を考えたほうがよい。
ひとつは、信じられる相手と票交換することだ。
会ったことのある人、今後会う予定のある人などに票交換を依頼する。
これなら騙されるリスクが低くなる。
もうひとつは個人的な取引ではなく、全体に対してお願いをすること。
「私はAのファンですが、Bにも投票しました。Bのファンの皆さん、Aにも投票してくださいね」
というように、特定のファン層に投票を呼びかける。
これなら、投票してもらえなくても被害にならない。
むしろ、あなたの100票に対して、良心的なファン2人が100票ずつ投票する可能性もある。
これくらいが穏当ではないか?
対策は困難 悪質ユーザーとのいたちごっこ
ネット上には対策として、さまざまな方法が紹介されている。
だが、取引相手が票交換詐欺だと見抜くのは難しい。
SNSのアカウント名の変更履歴を検索できるサービスがある。
これを使えば、悪質なユーザーの化けの皮が剥がれる。
でも、新規作成されたアカウントを使われれば意味がない。
みんなで規約違反を報告すれば、SNSアカウントを凍結できる。
凍結されたユーザーは別のアカウントを作ることができない。
とはいえ、まったく別の電話番号であれば、これを回避できる。
悪質なユーザーを回避する方法はさまざまだが、善意のユーザーとのいたちごっこになっている。
ネット投票 モラル問われる事案も
投票企画を通じて、ネットユーザーのモラルの欠如が鮮明になっている*3。
これは今に始まったことではない。
大型アイドルプロジェクトの人気投票のため、大量に購入したCDを不法投棄した事件もあった。
(ネットユーザーではないが、)ご当地キャラの投票企画では、市の職員を動員した大量の不正投票が発覚している。
過去のさまざまな投票企画では、(犯罪ともいえないような)ネットユーザーの悪ふざけもみられた。
明らかに人気のなさそうなキャラに投票して、運営の望まない結果にしようという動きが一例だ。
予定調和を崩すという意味では、こうした行動は痛快な一面もあった。
しかし、今回のような有償投票券を用いた企画では、悪ふざけをやりにくい。
いたずらをしようものなら、警察に捕まったり、訴訟沙汰になる可能性もある。
好きなキャラを1位にしたいのであれば、ルールや法律の許す範囲で、正々堂々と戦うべきだ。