スーツアクター・野邉大地さん、訓練中に亡くなる
仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズに出演していたスーツアクター野邉大地さんが訓練中に、事故で亡くなった*1。
「仮面ライダー俳優死亡」と報道している報道機関が多い。
これについて、「仮面ライダー俳優ではない」と噛み付いているファンがおり、意識の低いファンがあぶり出される事態になっている。
「仮面ライダー俳優逮捕」報道の問題点について - 気持ちのサンドバッグ
スーツアクターとは
スーツアクターは着ぐるみを着て、ヒーローの変身後を演じるアクション俳優である。
仮面ライダーやスーパー戦隊の場合は、ジャパン・アクション・エンタープライズ(JAE)の俳優が多い。
これは俳優の千葉真一さんが立ち上げたジャパン・アクション・クラブ(JAC)を前身とする事務所だ*2。
上記シリーズへのスーツアクターとしての出演のほか、変身前の人間*3を演じたり、アクション映画の吹き替え*4をしたりもする。
彼らが「(スタッフの)アクションさん」ではなくアクション俳優と呼ばれるのは、役を演じているからだ。
彼らはキャストであり、スタッフではない。
求められる表現力
アクション俳優には表現力が求められる。
実際には痛くない、当たってもいない攻撃をあたかも痛いかのように演じる必要がある。
最近では実際に爆発などせず、CGで済ませることが多い。
そのため、より一層表現力が問われるようになった*5。
そして、スーツアクターにしても吹き替えにしても、顔が見えない。
アクション俳優は顔ではなく動きによって心情を表現しなければならないのだ。
変身前の役者も意識する必要があることから、スーツアクターは役者の中でも非常に難易度が高い。
今回起こった事件
今回、何が起こっているのか?
飛び降りスタントの訓練中に、俳優が死亡した。
2018年6月15日の朝の時点で記者会見などは行われておらず、詳細はわかっていない。
ひとつ言えることは、これは訓練であり、『仮面ライダービルド』や『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の撮影現場で起きた事故ではないことだ。
この事故によって現場にも影響はありそうだが、アクション俳優の事務所は他にもある。
仮にJAEが丸ごと降板したとしても、仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズが終わることはまずない。
今回起きたのは撮影中ではなく、訓練中の事故。
今回起こった二次災害
さて、ようやく本題に入る。
正真正銘の仮面ライダー出演俳優である野邉大地さんの訃報が入った。
そこで、ネット上に「スーツアクターは仮面ライダー出演俳優ではない」という意見が出るようになったのだ。
仮面ライダー俳優逮捕騒動
この背景にあるのは、先月あった「仮面ライダー俳優」逮捕騒動である。
逮捕された俳優は仮面ライダーに数回出演したが、レギュラーではなかった。
にもかかわらず、仮面ライダー出演俳優というラベルを貼られたので、ファンは憤った。
仮面ライダー出演俳優という踏み絵
この記事を読んでくれた方はもうお分かりだと思うが、スーツアクターはアクションをするスタッフではなく、アクション俳優だ。
自称特撮ファンがそれを否定するのであれば、その人は「意識が低い」「にわか」だと言わざるをえない。
この事件によって、哀悼の意を表する「真のファン」と文句をいう「にわかファン」が選別できる状態になってしまった。
出演俳優が亡くなっているのだから、人の心がある人は故人を冒涜するようなことは言わないでほしい。
Twitterは全世界に公開される
Twitterは誰もいない土管に向かって叫ぶツールではない。
発言は全世界に公開されている。
今回も、「スーツアクターは俳優とは言えない」発言が全世界に発信されているので、発言の内容には気をつけよう。
これが宗教や信仰の話になったら、命すら危うい。
*1:報道にはスーツアクターと書かれていないものが多いが、それは事務所の方針らしい。
野邉大地さん21歳で死去、飛び降りる訓練の直後に。「仮面ライダービルド」のアクション担当
他作品では、どのキャラクターをどのアクション俳優が演じているかスタッフロールで明示しているものもある。
しかし、東映特撮のスタッフロールでは俳優名しか書かれていない。
*2:仮面ライダー出演俳優死亡 5階から飛び降り訓練 事務所の合宿で15回繰り返した後に― スポニチ Sponichi Annex 芸能
*3:最近では、『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダーマリカの変身前と変身後を佃井皆美さんが演じた。
*4:非アクション俳優にさせられない危険な演技を、あたかもその俳優本人がやっているかのように演じる。