西日本豪雨で再認識させられた防災グッズの必要性
西日本豪雨は私たちに備蓄の重要性を再認識させた。
ライフラインや物流ルートの寸断は、私たちに死をもたらす。
私たちは蛇口をひねれば水が出て、コンビニに行けばなんでも買えることのありがたさを理解していないのではないだろうか?
いつ起こるかわからない大災害に備えて、備蓄をしよう。
それは、乾パンを買って終わりではない。
変わっていく常識
備蓄は使いながら備える
「乾パンを買ってきた。口の中がパサパサするので水が欲しい」というジョークがある。
「非常食なんだから、食べちゃダメでしょう」というのがツッコミどころなのだが、今はあまりこれを笑うべきではない。
非常食は、使いながら新品に買い換えるのが常識になっているのだ*1。
せっかく備蓄しても、消費期限切れでは意味がない。
だから、消費期限が近づいたら食べることが求められている。
乾パンだけが非常食という誤解
乾パンは非常食として有効である。
しかし、避難生活が長期化した場合、あるいは支援が行き届かなかった場合、2〜3日乾パンだけで過ごさなければならない場合もある。
栄養バランスもよくないので、栄養価のある非常食のほうがよい。
それから、乾パンは食べながら買い換えていくのが難しい。
アルファ米やパンであれば、普段の食事でも食べられる。
だが、乾パンは食生活に取り入れづらい。
そうしたイメージを払拭(ふっしょく)しようと、乾パンメーカーもレシピを公開するなどして頑張っている*2。
しかし、乾パン以外のおいしく食べられる非常食も重要ではないだろうか?
トイレの備蓄
備蓄というと非常食のイメージが先行するが、実際にはトイレも重要だ。
断水でトイレが使えなくなることを想定し、非常用トイレを備蓄しよう。
ところで、断水時でも普通のトイレを使うことは可能ではある。
流す水を水道から引けないだけなので、汲んだ水さえあれば使えるのだ。
でも、それには大量の水が必要である*3。
仮に水の備えがあったとしても、非常用トイレもあったほうがよい。
最後に、水道の復旧後について。
西日本水害では工事の不手際があったようで、水道復旧後にトイレが破損する被害も出ているようだ。
復旧時はまず、トイレ以外の水道から流そう*4。
非常食は被災中に消費期限が切れないよう、食べながら備蓄することが重要。
食生活を考えると、乾パンだけを備蓄するのは現実的ではない。
非常用トイレの備蓄も求められている。
あらゆる場所に備蓄を
本棚に入る防災グッズの弱点
本棚に入る防災グッズというのがテレビで紹介され、話題になっているようだ*5。
今回のような水害や台風などのときには役立つかもしれない。
しかし、よく考えてみてほしい。
そのグッズだけ持っていたとして、もし本棚が倒れたら、壊れたり、取り出せない可能性がある。
本棚に入るグッズはあくまで一時しのぎ用。
1つ防災グッズを買ったから安心というのではなく、必要な分を玄関や自室、台所などに分散して置くことが重要だ*6。
普段のカバンにも防災グッズを
外出先で被災した場合に備えた備蓄も必要である。
自然災害ではないかもしれないが、停電で電車内に長時間閉じ込められたという話もよく聞く。
非常用ブランケットやオーラルケア用のウエットティッシュ、携帯用トイレなど、普通はカバンに入れないものも必要だ。
一方で、水やお菓子、充電器などの普段使うものも災害の備えになる。
通勤・通学のカバンに入れておこう。
NHK そなえる 防災|特集|防災グッズリストダウンロード 災害・防災 手作りかいけつキット
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職場の備蓄を求める自治体も
首都直下型地震などが恐れられている東京都では、職場に缶詰めになることを想定。
施設内の備蓄を求めている。
2.施設内待機のための備蓄の確保|東京都防災ホームページ 帰宅困難者対策ポータルサイト
職場の備蓄は家庭以上に分散させる必要がある。
東京都は、複数階にまたがる職場では、エレベーターが使えないことも考慮すべきだとしている。
実際に、東日本大震災でも帰宅難民が大量発生した。
無理に帰宅するのではなく、職場に残ろう*7。
車社会の地方では対応がまた変わってくると思うので、各自治体のウェブサイトを参照されたい。
「災害に遭わない」想定はダメ
備蓄の呼びかけを、メーカーが防災グッズを売るためのキャンペーンだと思い込んでいる人もいるかもしれない。
災害に遭わないと思って、家庭に何も置いていない人もいるのではないだろうか?
だが、現実には、被災後に食べ物に困る可能性もある。
東日本大震災のときは千葉県にいたが、被災直後、スーパーの在庫は空で、飲食店は大混雑だった。
そうならないためにも、普段から食べ物を保存しておく必要がある。
災害を生き延びたのに、避難生活で餓死したら元も子もない。
もちろん、簡易トイレやポータブルラジオもお忘れなく。