規制よりもフィルタリングや機能制限を
大阪府の女子児童が栃木県の男に誘拐され、6日後に保護された。
男とSNSでやりとりをし、家の近くまで男が来る形で、さらわれたことがわかっている。
これについて、頭ごなしに「スマホを禁止すべき」とする意見がインターネット上に飛び交っている。
果たして、それは本当に正しいのか?
先に要点を整理しておく。
ルールでスマホを規制するのは現実的ではなく、実効性もない。
現実に即した実効性のある機能制限が求められている。
この記事は被害女児や家族を責めるものではなく、容疑者の男を擁護する目的でもない。
「スマホを禁止」は非現実的
「小学生がスマホを持っていること自体がおかしい」という声もある。
しかし、そういう現象が起こっているというのが現状だ。
今からスマホを規制するのは難しい。
子どものためになる さまざまな機能
そもそも、スマホには子どもの役に立つさまざまな機能がある。
連絡手段以外に、学習を助ける機能も追加できる。
GPSで位置情報がわかる機能もつけられ、子どもの安全にも役立つ。
オンラインゲームなどの楽しい機能もあるが、子どものためにもなるのだ。
(かつてはガラケーにも同様の機能があったが、サービスを終了し、スマホに移行したものも多い。)
人間関係に組み込まれている
幼少期からITに触れてきた子どもたちにとって、スマホは生活に欠かせない*1。
LINEでの友達同士のつながりもある。
スマホが普及している学校では、スマホがないために友達づきあいに影響が出ることも考えられる。
(学校や現実世界では、生の人間と関わっている。)
通話やショートメールの機能のみがついた携帯電話を持たせればよいという意見もある。
でも、それでは上記のような役割を果たせず、現実的ではない。
規則上の禁止/実効性のある制限
ルールでは小学生禁止 実際は使える
ルール上の「禁止」に意味があるか、というところも考えなければならない。
今回、女児と容疑者はTwitterでやりとりしていたことがわかっている。
一方で、Twitterは利用規約で13歳未満の利用を認めていない。
ルール上は禁止されているものの、自己申告制。
実際に不可能な仕様になっていなかった。
携帯電話会社のフィルタリング機能や、後述する管理機能を使おう。
そうすれば、Twitter自体にアクセスできなくなる。
子どもの良心に委ねるのではなく、実効性のある手段をとろう。
保護者による管理機能を使おう
子どもが安全にスマホを使うためには、保護者による管理が不可欠だ、
スマホに標準搭載されている機能を使って、子どもが不適切な使い方をしないようにしよう。
iPhoneの場合、
設定>スクリーンタイム
から、
- スマホ・アプリの使用時間の制限
- 使えるアプリの制限
- アプリのダウンロードの制限
- 年齢に応じたコンテンツの制限
などをかけられる。
Androidの場合、
設定>Google>保護者による使用制限
から同様に制限をかけられる。
(いずれもバージョンにより違いあり。)
アプリごとの年齢制限
各基本ソフトのアプリストアでは、対象年齢が設定されているアプリがある。
保護者が年齢に応じた制限をかければ、対象年齢未満の子どもはダウンロードできなくなる。
人気ゲーム「荒野行動」を例にとってみよう。
- iPhoneのApp Storeでは、17歳以上
- AndroidのGoogle Playストアでは、16歳以上
が対象となっている。
制限をかければ、このゲームは遊べなくなる。
そうしたゲームを遊びたいという子どももいるかもしれない。
子どもを大切に思うなら、制限を解除するべきではない。
ゲームのメッセージ機能
SNS以外に気をつけたいのが、ゲーム内のメッセージ機能だ。
中には、ゲームのプレイに必要な定型文やスタンプしか送れないアプリもある。
でも、ゲーム内の友達や利用者全体に好きなメッセージを打てるゲームもある。
好きなメッセージが打てるアプリでも、個人情報のやりとりはルール上禁止されている。
だが、それを守るかどうかは、ユーザーに委ねられているのが現状だ。
メーカーには、子どもがメッセージ機能を使えない制限をつけてもらいたい。
それと同時に、保護者のみなさまの間でも、メッセージ機能を使わせないなどのルールづくりをお願いしたい。
制限・ルールづくりは子どもと相談を
「子どもを守るため、大人がどこまでも規制してよい」
ということはない。
過度な規制は友達や家庭内での孤立を招き、逆効果だ。
それこそ規制の及んでいないどこかで、知らない大人とつながるおそれがある。
子どもを孤立させないためにも、達成可能で子どもに負担をかけないルールづくり(機能制限)をお願いしたい。
学校の保護者会や周りの家庭の意見も取り入れつつ、子どもと相談しながらルールを決めてほしい。
*1:論点とややズレるので本文では触れないが、ネットがかつてのテレビに近い役割を担っている。お笑い芸人やアイドルと同じように、ユーチューバーがカリスマ的な人気を得ている。