画像の無断転載 実在アイドルの恋愛モノも
小説投稿サイトで不適切な投稿があり、問題になっている。
具体的には、
- 他者の画像の無断転載
- 存命の有名人を主人公とする恋愛小説
- 未成年が投稿したと思われる成人向け小説
があった。
サイトの利用者の大半は未成年と思われる。
彼らは法律に関する知識もなく、難しい利用規約も読めない。
今求められているのは、利用者の目線に立った対処法である。
問題になったサイト以外でも、同様の事例があるようだ。
この記事では、未成年の利用者における問題行動の対処の案をまとめる。
小説投稿サイトの現状
現在問題になっているのは、長文を載せるタイプの小説投稿サイトではない。
LINEの画面を模したページに、登場人物のセリフを載せるというものである。
表紙絵など無断転載が横行
小説はユーザーが自由に投稿でき、事前審査などもない。
手軽な反面、表紙やアイコンに不適切な画像を載せている例がみられる。
- アニメや実在のアイドルの公式サイトから転載した画像
- イラスト投稿サイトから盗用した絵 (過激なものを含む)
その小説を動画投稿サイトTikTokで、動画にして投稿している人も多い。
動画にすることで、イラストレーターは無断転載を見つけにくくなっている。
過激な内容の小説 トップページから見られる
小説の内容にも不適切なものが含まれている。
- 実在のアイドル同士の恋愛を描く小説
- 暴力的で過激な恋愛を描く小説
- 大人であれば自主規制している内容を、直接的に描写する小説
明らかに不適切な投稿がトップページに掲載されるなど、運営の不手際も目立つ。
ユーザーがコメントに個人情報を書く例もあり、犯罪への悪用も懸念されている。
問題行動の予防策
年齢による機能制限
成人向けの機能があるなら、その機能は成人の会員だけが使えるようにすべきだ。
会員登録をしなくても、成人向け小説が見られる状況は非常にまずい。
ユーザーの年齢については、自己申告制のアプリが多い。
一方で、身分証明書の提示や、携帯会社による認証を求めるアプリもある。
いずれにしても、アプリの特性に合った認証方法を採るべきである。
ちなみに、問題となった小説サイトでは、利用規約で成人向けの小説を禁止している。
しかし、実際には成人向けのものが投稿されていた。
その状況を放置していた運営への批判は必至だ。
やさしい日本語によるガイドライン
子どもは善悪が判断できず、難しい文章が読めない。
そのため、わかりやすく注意を促すことが求められている。
現状を喩えるならば、さまざまな防火設備を用意しているのに、誰も使い方を知らない状態である。
これでは、火災の被害を抑えることができない。
「消火器」のわかりやすい使い方を含めたガイドラインが必要だ。
具体的には、
- 「他の人の絵を、のせてはいけません」などの平易なテキスト
- 何ができて、何ができないかの具体例の提示
- 文字が読めなくても見やすいイラスト
の3点が重要である。
利用規約は法的には正しいかもしれない。
だが、読めない人にとっては、意味をなさない。
参考:
(日本語を勉強する外国人向けの「やさしい日本語」は、日本人の子どもにも読みやすい。)
問題行動を不可能にする仕組み
問題のある行動を防ぐのに重要なのは、そうした行動が取れない仕組みである。
ユーザーの良心に任せるのには、限界がある。
例えば、ネットゲームでは、ユーザー名やコメントに使えないNGワードが定められている。
投稿にNGワードがあれば、エラーメッセージを出したり、自動的に伏せ字にしたりしている。
差別やいじめを避けるためにも、そうした措置は重要だ。
あるいは、ユーザーが投稿する画像を事前に審査する方式が考えられる。
人工知能 (AI) ではなく、手動でもよい。
そうすることで、権利的にまずいものが投稿されるのを防ぐ。
小中学生に対しては、通報機能 (=ユーザーの良心に基づく対応) が役立たない場面も多い。
事前の抑止をしたほうが、リスクを抑えられる。
問題行動への応急処置:通報を簡単に
問題のあるユーザーと、その行動にはできるだけ早く対処してほしい。
とくに、「クリエイターが権利を侵害された」との通報があった場合、まずは見られなくするべきだ。
ネット上には、「通報から1週間経っても対応してもらえなかった」という書き込みもあった。
仮に事実であれば、無断転載の画像が少なくとも1週間放置されていたことになる。
投稿者の表現の自由も大事だが、他者の著作権や肖像権も重要である。
ウソの通報というケースもありうるが、その真偽は後で判断するのがよい。
濡れ衣と分かれば、再度公開すればよいだけのことだ。
ペアレンタルコントロール:保護者が管理する
保護者が未成年ユーザーを管理できる仕組みがあれば、安心してサービスを利用させられるだろう。
子どもが何の小説を読み、あるいは投稿したかを見られる機能があるとよい。
ゲーム機のNintendo Switchでは、プレイ時間や通信機能を保護者が制限できるようになっている。
どのゲームを何時間遊んだか分かるし、子どもが不適切なゲームをダウンロードする心配もない。
スマートフォンの基本ソフトでも、ペアレンタルコントロールの機能を設定できる。
不適切なアプリの利用を禁止し、成人向けウェブサイトをフィルタリングできる。
ただ、「ペアレンタルコントロール 解除」が検索サイトの候補に上がるなど、子どもからの評価は芳しくない。
参考:
みまもり設定(保護者による使用制限)|Nintendo Switch サポート情報|Nintendo
お子様の iPhone、iPad、iPod touch でペアレンタルコントロールを使う - Apple サポート (日本)
Androidで使える「子どもの安全を守るための機能」とは?ファミリーリンクを活用しよう
大人の常識が通用しない 子どもに理解を
大切なのは、子どもを理解することだ。
大人の世界では当たり前でも、子どもには難しいこともある。
逆に、大人には理解できないことが、子どもたちの中では当たり前になっている。
子どもと大人の認識には、大きな隔たりがある。
それを理解した上で、ダメなことにはダメと言う。
大事なルールは、察させるのではなく、明確に教える。
ネット上では、子どもが大人の一員とみなされることも、認識させるべきだ。
とはいえ、子どもだからこそできる、柔軟な発想もある。
子どもの声に耳を傾けよう。
彼らの要望を実現できるよう、努力することもまた、大人の務めである。