事件・事故現場の動画 テレビ局の無断使用を防ぐには?
ソーシャルメディアの発展で、事件や事故などのスクープ動画がネット上にアップされるようになった。
テレビのニュースでもそれらの動画が利用されている。
現場の様子がより正確に、わかりやすく伝わるようになった。
警察の話から作られた再現CGよりも早い。
それに、最近はテレビ局の免震化が進み、地震で社内が揺れる映像が使いづらくなっている。
手軽な投稿動画はメディアから重宝されている。
ネット動画 テレビでの扱いに問題アリ
「タダで提供」に疑問の声
一方で、メディアがユーザーの動画を勝手に使うのには反発の声もある。
「カメラマンが給料をもらって撮るべき動画を、タダで提供する*1のはおかしいのではないか?」
中にはユーザーの意に反して、メディアが勝手に使ったケースもあるようだ。
「自分の撮った動画がテレビで使われたらうれしいに決まっている」とでも思っているのだろうか?
テレビ局は、未だに自分たちを権威だと思っているのかもしれない。
ネット動画を見せるだけの番組も
以前も、視聴者からホームビデオを募集する番組はあった。
でも、ここ数年はYouTubeなどの動画サイトから二次利用しているケースが多い。
つまり、テレビのためではない、他所の動画を流しているだけなのだ。
こうした番組にも、テレビ局としての努力をしていないという批判の声がある。
たしかに、芸能人が感想を言うとか、動物や子どもの習性についての解説を交えるなどの工夫も見られる。
しかし、第三者の努力の結晶をタダで譲り受けるのは、手抜きと言われても仕方ない。
ネットのトレンドを放送するテレビ局
最近のワイドショーでは、ネットのトレンドを報道しているようだ。
「ネットで話題のニュースランキング」程度なら許せる。
だが、ネットで話題の画像・映像にまで言及する番組もある。
もちろん、ネットの話題も「ニュース」ではある。
でも、そうした情報はTwitterを見ればすぐわかる。
その情報が本当かウソかなども、ネットニュースでわかる。
にもかかわらず、トレンドを紹介して、コメンテーターが感想を言うだけに終始している番組もある。
それを流すのであれば、テレビにしかできない特集などをすべきではないのか?
ソーシャルメディアには、事件・事故の現場を映した映像がアップされている。
一部のテレビ局は
- 投稿者に謝礼を払わずに動画を使用する
- ほぼ二次利用だけで番組を作る
- ネット情報をそのまま放送する
などしていて、テレビの質の低下が感じられる。
Twitter以外の投稿先
一般の動画サイトやSNSにスクープ動画をアップすることは一般的になった。
でも、無断使用の懸念が拭えない以上、別の方法も考えなくてはならない。
自社投稿サイトを持つテレビ局
NHKやフジテレビは専用のアプリで動画を募集している。
その他の局も、ウェブサイト上に投稿フォームを設けている。
これを使えば、特定のテレビ局に独占的に動画を提供できる。
実際に、ニュースや生活情報番組の中で紹介されることもある。
使ってほしくない、気に入らないテレビ局がある場合は、この方法をおすすめする。
ただ、謝礼などはなく、投稿者に利益はない。
局が自由に使えることを利用規約に定めている場合もある。
あくまで「テレビ局へのお便り」扱いになっているのが実情だ。
動画を買い取るサイトも
でも、投稿動画は、一方的に無料で使われるだけではない。
実は、事件や事故の動画を買い取ってくれるサイトがある。
買取サイトを通じて、テレビ局が動画を購入する。
5月16日に北海道の国道で軽自動車が逆走した事件では、videocashというサイトの動画が使用されていた。
私が確認した限りでは、複数のテレビ局によって同じ映像が放送されていた。
つまり、複数の局から買取があったものと思われる。
(それにプラスして、近隣を走っていたバス会社のドライブレコーダーの映像を流す局もあった。)
ただし、サイトによっては買取金額を低価格で固定しているようだ。
また、あくまで買取サイトへ独占的に提供する必要があり、他所での公開はできない。
とはいえ、買取サイトとテレビ局の間に売買契約が発生し、テレビ局にタダで渡ることはない。
テレビ局の投稿サイト:希望しないテレビ局の手に動画が渡らずにすむ。あくまで無償提供。
動画買取サイト:自分が撮った動画を売れる。ただし、サイトによっては低価格も。
テレビ側の努力:現場近くでの中継も
もちろん、テレビ局は何もしていないわけではない。
最近は事故の際など、居合わせた記者がスマホで中継している場合もある。
災害発生時、車載カメラで街の様子を撮影しているニュース番組もあった。
テレビ局も、いざというときはスマホを活用しているのだ。
そう考えると、やはり動画の有料買取は必要である。
スマホで撮った動画もそれなりの価値がある。
ネットユーザーにおかれては、事故などの動画をTwitterにあげるべきか、どこかのテレビ局に提供すべきか、買取サイトに売るべきか、よく考えてほしい。
*1:謝礼をもらえる局もあるようだ。