動物園のTwitter炎上 謝罪する園長
いつもは「素敵なお姉さま」ばかりだが、「女子」のお客様がいるのを見た。
飼育担当者の男性も喜ぶだろう。
動物園のTwitterアカウントがつぶやいた。
女性の写真も掲載されていたが、盗撮ではなく許可をとったと弁明している。
このツイートに対し、セクハラとか女性蔑視との批判が殺到した。
今回は、このツイートの問題点について考える。
若い女性客:性別を特定する表現
今回のツイートは、若い女性客がきたことで男性の飼育員が喜ぶという内容だったとも考えられる。
「お姉さま」が中高年の女性、「女子」が若い女性だと捉えた場合の話だ。
これはセクハラが成立しやすい文脈である。
「中高年の方」「若い方」のように性別を特定しない表現であれば、問題はなかった。
そうであれば、親子での来園など、将来の集客への期待感を読み取れた。
素敵なお姉さま:どんなに美化してもNG
どんなにきれいな表現であっても、セクハラは成立する。
差別する意識・無意識があれば、言い方は関係ない。
例えば、政府の人事院のウェブサイトでは、「お嬢さん」もセクハラ表現の例に挙げられていた*1。
念のため、同じ動物園のアカウントで、高齢男性を「お兄さま」と表現していないか検索した。
残念ながら、そのような表現はなかった。
やはり、意識的または無意識に差別していたと言わざるを得ない。
表現をきれいにしたいなら、他人ではなく、文を美化すべきだ。
「素敵なことがありました」
「大変ありがたいです」
など肯定的な文脈にする方法はいくらでもあるだろう。
若年層の女性客が少ないと伝える場合
ここで、単純に若年層の女性客が少ないことを伝えたい状況を考えよう。
その場合も性別や年齢で表現を分けるのはセクハラに当たる。
具体的な数字を出しつつ、若年層の女性客が少ないことを示すのがよい。
その上で、若い女性が集まるよう、展示を改善していけばよいのではないか?
改善した展示を写真に撮って投稿することこそ、Twitter広報の正しいやり方だと考える。
美人:容姿に言及してはいけない
今回の投稿が、美人な「女子」がきたという意味だったとしよう。
人の容姿に言及するのは、セクハラと考えられる。
これは「美人」と褒めていても同じである。
動物園なのだから、動物好きの情熱を褒めればよかった。
美人という意味で「女子」と呼んだのであれば、残念だ。
相手を下に見ていないか?
差別やハラスメントには上下関係がつきものだ。
相手を下に見ていないと、失礼なことは言えない。
逆パワハラ・逆セクハラという言葉も聞くが、どちらも目上の人を見下しているのが前提にある。
「お姉さま」「女子」という言葉も、女性客を下に見ていたから出てきた表現はないか?
美人と言うのも、相手の容姿を評価できるほど上の立場にいる前提なのだろう。
男性客を「お兄さま」「男子」と呼ばないのは、対等か自分より上だと思っているからではないか?
女性アイドルのコンサートに、屈強な男性警備員が投入されたという話も聞く。
さすがの男性ファンも、自分より強い男性の前では強気になれないのだ。
いずれにしても、客を見下すのはよくない。(迷惑客を除く)
男性客と女性客で態度を変えるのであれば、セクハラと思われても仕方ない。
人気高まる飼育員 残念な不祥事に
現在、飼育員全体の人気が高まっている。
最初は、アニメ「けものフレンズ」の動物紹介コーナーで注目されはじめた。
それから、YouTubeなどの動画サイトの普及で、飼育員の活躍が増えた。
そして今、動物園が三密になりにくいスポットとして注目されている。
こうしたよい雰囲気の中で、動物園への信用を損ねてしまったのは残念でならない。