消費者のニーズを企業目線で批判も
ネット上のこのような趣旨の書き込みが話題になっている。
ベビーカー同伴で○○(大手輸入食品店)を利用したいと書き込んだ人がいた。その人を、店側の目線で否定・非難するツイートが多かった(意訳)
実際のところ、このチェーン店では、狭い店内に食品がところ狭しと並んでいることが多い。
それを「企業の戦略」と断定したり、「売上が減るから広くできない」と言い放ったりしているユーザーもいた。
そのような情報はどこにもなく、彼らが内部の人間という証拠もない。
それらのユーザーは、勝手に企業の「言い分」を代弁している可能性が高い。
「ベビー用品店に障害を持つ赤ちゃん用の服があったらいいな」
という要望に対しても、同様の事態があったようだ。
勝手に企業の利益を代表し、他人の要望に難癖をつける代弁者がはびこっている。
悪質なクレーマーと混同 実力行使も
子連れの親、とくに母親に対する視線は冷たい。
一部のネットユーザーは「子連れ様」と呼んで、彼女らを罵倒している。
まるで悪質なクレーマーのように、悪いことをしているかのように扱う。
普通の客と同じように買い物がしたいと言っているだけなのに。
実際に、他の客がベビーカーの赤ちゃんを殴り、逮捕された事例もある。
輸入食品店の件でも、ネット上では「ベビーカーを引きながら店に入るのは迷惑だ」という声があった。
たしかに法律上は、店には客を選ぶ自由があり、迷惑な客を退場させられる。
とはいえ、その自由があるのは客ではない。
客にできるのは、「困っている」と店に伝えることだけだ。
ベビーカーに対する理解の促進には、行政も手を焼いている。
サブスクが解禁されないアイドルゲーム
子育て関係に限らず、企業目線の批判は見られる。
あるアイドル育成ゲームでは、サブスク(月額制聴き放題サービス)で音楽を配信していない。
これについて、サブスクを解禁してほしいという声が多く聞かれる。
そうしたニーズに対し、以下のような擁護が見られる。
- 「CDが売れなくなる」「コンテンツが潰れる」
- 「コンテンツにタダ乗りされるだけだ」
- 「権利関係が複雑で、配信が難しい」
ただし、
- 競合のアイドル育成ゲームは、サブスクを導入している。
- サブスク導入済みのゲームのCDでも、CD売上ランキングの上位に入っている。
- 件のゲームの楽曲を他のアーティストがカバーしたものは、サブスクで配信されている。
いずれの擁護も想像の域を出ず、根拠に欠ける。
むしろ、否定できる明確な反例もある。
ゲーム内では「プロデューサー」という設定だが、現実にはプロデューサーとして未熟な者も多いようだ。
いずれにしても、消費者はサブスクでの配信を要望し続け、叶うのを待つしかない。
サブスクから新規ファンを得るか、既存ファンのCD購入を重視するか、あるいは……
その選択は企業に委ねられている。
消費者に努力を求める消費者
課題を抱えている消費者に対して、「自分で努力しろ」と言い放つ消費者がいる。
企業とは、消費者の課題を解決するものであり、その過程で利益を生み出すことが求められている。
ほかの消費者を黙らせる消費者は、経済にとって悪影響だ。
例えば、「私は甘味料の○○が嫌いだ」という、味の好みについての書き込みがあった。
Twitter上では、人工甘味料についての議論が過熱した。
「砂糖のコストを考えろ」とか、「人工甘味料は企業の努力の結晶だ」という書き込みが多く見られた。
「嫌なら食べるな・飲むな」と、消費者側の努力を求める声もあった。
今日日、人工甘味料を使っていない商品を見つけるのは難しい。
彼らは「店に来るな」と言っているも同然で、企業の利益を奪っている。
このユーザーのニーズを叶える企業の登場が待たれる。
ニーズを伝える手段と課題
ここまで、Twitterや各種SNSなど、ネット上の書き込みについて話してきた。
でも、ニーズを伝えるための他の手段にも、言及する必要がある。
新聞の投書欄には、編集者や作家などの返答がつく場合がある。
これらは、投稿者をいさめる内容であったり、回答が不適切なものもある。
投書がネットで炎上する例もあり、ネットの書き込みとさほど変わらない。
お客様センターへの問い合わせは電話だけでなく、メールにも対応している。
きれいな文体で心を込めて書いた問い合わせメールとその返信を、ネットに上げる人もたびたび見られる。
ただ、誠実な対応をしないお客様センターが問題になっている。
客からの指摘に対し、「法務局に相談してはどうか?」などと高圧的に対応した事例がある。
直接メールを送ったからといって、対処してもらえるとは限らないのだ。
そう考えると、SNSに独り言として流すのは、精神衛生的に合理的である。
輸入食品店の例のように、企業の担当者でもない輩に攻撃を受けている人もいるのだが。